「鍵を開けて真っ暗な部屋に明かりをつけたら、バラの花束と冷えたシャンパンがテーブルの上に置かれていたんです。花束を差し出して、『結婚してください』とストレートに言いました」
サプライズに驚きながらも、みずえは喜んでプロポーズを受けたという。
その話を聞いて、筆者はよういちに言った。
「入会面談に来たときは失恋して暗い顔をしていたのに、こんな日が来るなんて。これもすべてよういちさんが、頑張って自分の力で手に入れた幸せですね。ただ結婚は、ここがゼロのスタート地点だから、2人で力を合わせていい関係を築きながら、家族になっていってくださいね」
そんな言葉に、「はい、頑張ります」と、よういちの声はどこまでも弾んでいた。
一生、大切にしていこう!
それから数週間後。成婚退会の手続きを進めるにあたって、また連絡を取り合ったのだが、そのときによういちがこんなエピソードを話してくれた。
「この間、みずえさんの部屋で2人で結婚雑誌を読んでいたんです。あるページを私が声に出して読んでいたら、『なんかイントネーションがヘンだよ』って、みずえさんが笑い出して。私もつられて笑って、2人で大笑いになったんですよ」
ところが、ややあって、みずえが急に泣き出した。
「こんなふうに好きな人と笑える日が来るなんて、婚活を始めたときには思ってもみなかった」
そんなみずえを本当に愛おしいと思い、心に誓ったそうだ。
「この女性を一生、大切にしていこう!」
現在、よういちは結婚の準備を進めながらも、会社の資格試験を受けるために勉強中だ。
「みずえさんは仕事が好きで、自立している女性。そういうところも尊敬できるんですけど、これからもし子どもを授かったら、今のペースでの仕事ができなくなるかもしれない。そうなったときに、私が家族を守っていかないといけない。今回試験に合格したら、役職がつくし、給料も上がるんです」
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