焼き肉店の食中毒事故はなぜ頻発するのか? 業界、行政の早急な意識変革が必要

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 そもそも、ユッケや生レバーなど生食用の牛肉は、1998年に厚生労働省生活衛生局が通知した「生食用食肉の衛生基準」を満たすものが市場に出回っていない。同基準では生食用牛肉を扱う際の、と畜場の加工方法や飲食店の調理方法などを定めている。にもかかわらず、焼き肉店は基準上生食用ではない肉を、生食用として提供するという矛盾した状況が続いている。

厚労省は実態とかい離した基準を放置してきた理由を、「近年、生食用牛肉による食中毒死亡の事例がなかったから」と説明する。確かに生食用牛肉が原因となったO157による食中毒は、調査が始まった96年以降、死亡事例は存在していない。

だが、なし崩しになっていた基準の曖昧さを突くように起こったのが「えびす」事件だ。

フーズ・フォーラスは“低価格”をウリに「和牛ユッケ」を280円で販売してきた。同業他社からは「肉の表面を削り、独自に細菌検査を行うなどのコストを考えれば、絶対にあり得ない価格」と見られており、集客のために度を超えた安さを追求したため、衛生管理がずさんになっていたと見られる。これまでは使用する生肉が厚労省の基準に満たしていなくとも、飲食店の自主的な衛生管理で死亡事故までは回避されてきたが、「えびす」事件は積年の矛盾点を一気に噴出させてしまった。

余波は他の焼き肉店にも及び、大手チェーンは軒並みユッケなど生の牛肉提供を自粛している。東海地方を中心に焼き肉店「あみやき亭」を手掛ける大手のあみやき亭<2753>は、「国の基準を満たした生食用の牛肉が流通していないことは知っていた。だからこそ、提供前に湯引きをし、表面をあぶるなどして、万全の状態でユッケを提供してきた」(千々石康取締役)とフーズ社の事故には恨み節をもらす。

当面販売再開を見送るチェーンが多い中、同じく大手で関東、甲信越で展開する「安楽亭」を手掛ける安楽亭<7562>は、いちはやくユッケの販売に踏み切る。「加工工場で専任の検査員を置いている。より体制を強化し、8月にはユッケの販売を再開したい」(柳時機社長)と、自前の衛生体制に自信を見せる。

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