焼き肉店の食中毒事故はなぜ頻発するのか? 業界、行政の早急な意識変革が必要

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 富山県庁厚生部生活衛生課は「体調不良を起こした患者は、十分に加熱をしていなかった。トングの数が足りなかったため、生肉で触れたはしをそのまま食事で使ったことも、今回の食中毒事故につながったのではないか」と、食中毒事故の背景を分析している。

今回、「豪州産牛ハラミスライス」を出荷した工場への検査では、病因物質O157の検査は陰性の結果が出ており、「豪州産牛ハラミスライス」と食中毒事故の因果関係は明らかになっていない。レインズインターナショナルは、「これまでも加熱やトングを使用する必要性は訴えてきたが、店舗への指導が不十分だったため、より強化して顧客の信頼を取り戻したい」と説明している。


■肉は75度で1分間以上加熱することが大原則。焼く箸と食べる箸を使い分け、生肉に触れた箸で食事をしないことも重要だ。


「えびす」では死亡者発生 東京でも基準適合店舗はごくわずか

「牛角」で問題が起きる約1週間前、同じく焼き肉店「焼肉酒家えびす」でより深刻な食中毒事故が発生したことは記憶に新しい。「焼肉酒家えびす」は石川県に本社を置くフーズ・フォーラスが北陸地方を中心に手掛けるチェーン店。富山県、福井県、石川県、神奈川県にある計5店で「和牛ユッケ」を食べた客が腸管出血性大腸菌O111などに感染し、4名が死亡、患者数は169名まで広がった。

患者数や症状に違いはあるが、「牛角」「えびす」の問題で明るみになったのは、飲食店にとって、生で提供する食肉を扱うことは、大きな食中毒リスクを伴っているということだ。

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