サービス開始当初の「21本の記事」には、三木谷氏個人に焦点を当てた記事がいくつもある。そのすべてが三木谷氏を「時代のヒーロー」的に取り上げているのだが、代表的なものを見てみたい。サービス開始から3カ月後の日経産業新聞だ。
この記事にある「三木谷氏の起業ストーリー」には「メディアが好む起業家の要素」のほとんどが見事に集約されている。
最大の要素は「時代性がある」ことだ。当時はインターネットが、メディアで注目を集め始めた時期だ。インターネットという分野そのものが、まさに時代を象徴している。現在に置き換えると、AI(人工知能)か、それ以上に注目を集めている分野だった。
加えて、起業の背景にも「時代性」が強く感じられる。1997年は山一證券、北海道拓殖銀行など、「絶対に潰れない」と思われていた、日本有数の金融機関の破綻が相次いだ年でもあった。日本の未来に懐疑的な見方が広がり始めた時期だ。
エリートが阪神・淡路大震災をきっかけに起業
当時の三木谷氏は日本興業銀行に入り、社費留学でハーバード大学でMBAを取得するなど「日本の企業社会のエリート中のエリート」。そんな「超」が付くほどのエリートが日本を代表する金融機関に見切りをつけ、起業している。さらに起業のきっかけとして、2年前の阪神・淡路大震災を挙げている。
「インターネットという起業分野」、さらに「大企業への眼差しの変化」「起業のきっかけ」と、あらゆる面で「時代を捉えていた」のである。
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