"大谷の犬"注目で、ブリーダーが抱く「強い懸念」 人気犬種になったがゆえに不幸な道を辿る犬も

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しかしながら、「好きな芸能人が飼っている犬だから欲しい」「CMで見た犬がとても可愛いので飼いたい」など、知名度が上がり人気犬種になったがゆえに、不幸な道を辿る犬たちもいることをご存じでしょうか。

キムタクが飼っている犬

代表的な例が、オーストラリアン・ラブラドゥードルという犬です。

オーストラリアで生まれた犬種で、ラブラドールとプードルを主体に、ほかの4犬種を交配して作出されました。動物アレルギーを持つ人の介助犬になることを目的に、アレルギーが出にくい、毛が抜けにくい、ニオイが少ない、人懐っこいという特徴を持つミックス犬です。

歌手・俳優の木村拓哉さんの犬アカ(犬用アカウント)と称されるSNSに登場したことで一気に知名度が上がり、2022年には人気すぎてこの犬が手に入らない事態となりました。価格も高騰し、1匹100万円以上になることもありました。

しかし、2019年9月27日のCNNニュースによると、この犬を生み出したオーストラリアのブリーダー、ウォーリー・コンロン氏は、「パンドラの箱を開け、フランケンシュタインの怪物を解き放ってしまった」と、オーストラリア放送協会のポッドキャストで後悔の念を表明しています。

繁殖したラブラドゥードルの多くは精神に異常をきたしているか、遺伝上の問題(股関節形成不全や眼病)を抱えていて、健康な子犬が誕生する例はごくわずか。動物アレルギーを持つ人の介助犬になれたのは、3匹生まれたうちの1匹だけでした。

健康なラブラドゥードルを迎えるには、コンロン氏の真意を引き継いだ健全なブリーダーから譲り受ける必要があります。しかし、日本におけるラブラドゥードルの繁殖も、人気が出たことにより煩雑になっているのは言うまでもありません。

実際、ラブラドールとプードルが患いやすいとされる遺伝病のリスクを抱えた両親犬を、利益優先で繁殖させているブリーダーが多く、それを引き継いでしまった子犬が多数生まれているのです。決して、「有名人が飼っているから私も飼いたい」と安易に迎える犬ではないのです。

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