例えば、20代から役職や報酬でメリハリのある人事制度を導入。若手社員でも異動希望を募り、実施に取り組む。あるいは新規事業募集の制度を整備して、20代でも子会社社長になるチャンスをつくるなど、閉塞感の打破に向けた取り組みが加速しています。
こうした取り組みで離職希望の社員が踏みとどまったなどのケースは出てきているようです。人材紹介に取り組むエージェント関係者に話を聞いてみると、大企業からベンチャーへの転職をしようとしたところ、説得されて辞退するケースが増えてきたとのこと。おそらく、上記のような対策を提示したのでしょう。
こうした大企業の必死の努力のほか、今後また時期によっては株式公開するベンチャーの社数が減少したり、ベンチャー投資の意欲が下がる動きに連動して、ベンチャーへの転職ムードにブレーキがかかる時期も出てくると思います。ただ、それは一時的な話であり、ベンチャー企業への転職は1つの市場として確立していると捉えていいと思います。
ベンチャーは「日本の成長の重要な基盤」
日本でも、ベンチャーが新たな雇用の創出機会として重要であると認識されるようになっています。アメリカでは、ベンチャー企業の雇用創出は、民間雇用の11%と大きな位置を占めています。また、アメリカ中小企業庁の調査では、成長する新規企業の雇用創出力が大きいことが明らかになっています。
日本では雇用創出のボリュームはアメリカほどではないものの、一定規模で続くと思われますし、莫大な投資資金がベンチャー企業に対して準備される状況が継続することが見込まれています。
筆者が1990年代にベンチャー支援をしていた時代とはスケールが変わり、日本の成長の重要な基盤であるとの認識が生まれてきているのです。
雇用機会の増加が見込まれる期待の領域ですから、周囲も拡大に向けた支援をしていくので、広がっていくことでしょう。ただし、大企業とは違う雇用環境であったりするので、自身がベンチャーへの転職を選ぶ際にはそのことを理解しておくことは重要です。転職支援するエージェント側も注意喚起することでミスマッチを減らしていく努力をし、転職者にとって納得のいく環境につなげていってほしいものです。
このあたりの課題を人材採用に関わる企業と当事者(ベンチャー企業)が認識し、それぞれの努力で改善していくことができれば、大きな希望に満ちた転職環境、転職市場になっていくことでしょう。
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