3日間で怒濤の展開「OpenAIクーデター」の顛末 寝耳に水のマイクロソフトは思わぬ獲物を得た
OpenAIの取締役会で、今回のクーデターを主導したとされるのが、イリヤ・サツキバー氏だ。彼にとって想定外だったのは、それまでOpenAIを支持してきたマイクロソフトなどの投資家、パートナーに加えて、社内のエンジニアまでもアルトマンの全面支援に回ったことだろう。
アルトマンがその求心力により、極めて特殊な法人であるOpenAIを1つにまとめる役割を果たしていたことは、幹部やエンジニアの相次ぐ離脱だけでなく、彼の解任後に暫定CEOとして祭り上げられたミラ・ムラティCTO(最高技術責任者)が、取締役会に対してアルトマンのCEO復帰を求めて交渉していたことからもわかる。
11月20日、OpenAIに所属する770人の社員のうち700を超える者が、アルトマンをCEOに復帰させない場合はOpenAIを離脱するとの署名文書を取締役会に送付したとのニュースが、シリコンバレーで相次ぎ報道された。
マイクロソフトがアルトマンとブロックマンを中心とした先進AIを研究する部門を立ち上げたことで、こうした社員たちも大量移籍することは想像にかたくない。
マイクロソフトへ丸ごと移籍?
金曜日からのたった3日間で分断されたOpenAI。結果的に、組織が丸ごとマイクロソフトに移籍するような形で決着がつくのだろうか。
OpenAIは、マイクロソフトが巨額出資した際の契約も抱えている。収益分配に関する契約のほか、現在はソースコードを非公開としているOpenAIの開発成果に対し、マイクロソフトは長期のソースコードライセンスを得ている。
つまりマイクロソフトは、今後の開発成果も含めてソースコードへのアクセス権を有したまま、AI業界における最重要人物となっていたアルトマンを中心としたAIサイエンティスト、ソフトウェアエンジニアの受け皿にもなろうとしている。
ビル・ゲイツが手腕を振るったパソコン黎明期。マイクロソフトは、コンピューターメーカーのDECで伝説的なOS「VMS」を開発するも閑職に追いやられていたデヴィッド・カトラーと、その開発チームの受け皿となり、Windows 11へと連なるWindows NTの開発へとつなげた。
はたしてアルトマンたちは現代の“戦うプログラマー”となるのか。マイクロソフトはわずか数日で、思わぬ獲物を獲得した。
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