SBの呪縛から解放?「アーム」がもてはやされる訳 独自の設計思想を持つ半導体会社の成長戦略

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今後、AIがさらにさまざまなデバイスなどに活用されていく中で、高価なオールマイティーのチップではなく、ある特定の業務に適している専用のチップの需要が増えていくことは間違いない。そして、アームはそこへ商機を見出すだろう。それぞれの用途ごとに最適なサイズが必要なため、用途ごとにファミリー化していくことが見込まれる。

強力なライバルも台頭している

アーム最大の悩みの種は対抗馬として登場したオープンでフリーなCPUコアである「RISC-V(リスクファイブ)」であろう。

アームのCPUコアはライセンス料がかかる上に、量産することになればロイヤルティー料金も発生する。しかしRISC-Vは教育を目的として米カリフォルニア大学バークレー校のデビッド・パターソン教授、カーステ・アサノビッチ教授らのグループが開発した誰でも使えるオープンなCPUコアである。

もっともアームのCPUコアとは違い、命令数が47個しかなく、そのまま使うには性能・機能面で大きく劣る。このため自らアームのコア並みに機能を追加し実用に耐えうるように加工しなければならない。

こうした中、アームと競合できるCPUコアに完成させたサイファイブ社やアンデステクノロジー社などが誕生。これらのスタートアップもアームと同様、ライセンス料を求めるがアームほど高くなく、アームのライバルになりうる。

ただ、アームの強みはCPUに載せるミドルウエアやアプリケーションなどのソフトウエアのエコシステムだ。1000社からなるアームのエコシステムは極めて強力。RISC-Vのエコシステムはまだ数十社しか参加していないため、この点ではまだ弱いが、今後、特定用途向けのAIチップで競争が激化することは間違いない。

津田 建二 国際技術ジャーナリスト

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つだ・けんじ

東京工業大学理学部応用物理学科卒業後、NEC入社。『日経エレクトロニクス』などで記者・編集者を歴任。2007年6月独立。現在、News & Chips編集長。

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