財新記者は、博領控股集団の企業登記情報に基づいて同社の代表番号に電話をかけたが、まったく通じなかった。ヒンデンブルグのレポートによれば、博領控股集団の登記上の住所は民間住宅の一角にあり、現地に企業名などの表札は見当たらなかったという。
空飛ぶクルマの実用化において最大の難関と言えるのが、航空安全当局が機体の安全性にお墨付きを与える「耐空証明」の取得だ。イーハンは10月13日、同社が開発中の「EH216-S」が、中国民用航空局から耐空証明の前段階にあたる「型式証明」を取得したと発表。それを受けてイーハンの株価は一時急騰した。
だがヒンデンブルグのレポートによれば、イーハンは型式証明の取得に際して(航空安全当局から)課せられた複数の制限事項の情報を開示していない。ヒンデンブルグの聞き取り調査に応じた中国航空業界の2人の専門家は、イーハンの空飛ぶクルマの用途は(人口密集地から離れた)郊外での空中遊覧に限られ、イーハンが宣伝する「都市部の空中交通」に使うことはできないと指摘した。
夜間も水面上空も飛べない
中国民用航空局は、EH216-Sの型式証明に関するデータを公表している。財新記者が確認すると、そこには数々の飛行制限が明記されていた。例えば、飛行が許される時間帯は昼間に限られ、雨、雪、雷、結氷、砂嵐、濃霧などの予報が出ている気象条件では飛行を取りやめなければならない。
そのほかにも、飛行範囲を人口の少ない地域の上空に限ることや、遠隔制御チームの視界内で飛行させること、(河川や湖沼などの)水面上空の飛行を禁止することなど、厳しい制約がついている。
イーハンが、ヒンデンブルグのようなショートセラーの標的にされるのは、これが2回目だ。2021年2月に、アメリカのウルフパック・リサーチがイーハンに関するレポートを発表。同社の大口取引先との契約が、売上高を水増しするための粉飾だったとの疑惑を指摘していた。
(訳注:ウルフパックのレポートに関しては『中国「空飛ぶクルマ」の開発企業に粉飾疑惑浮上』を参照)
(財新記者:方祖望)
※原文の配信は11月8日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら