「ソーセージ買い忘れた妻」に夫はなぜ激怒した? 親の価値観から抜け出せない大人たちの葛藤

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人間関係のつまずきや生きづらさは「内なる子ども」に由来している(写真:Graphs/PIXTA)
人間関係のつまずきや生きづらさを感じる原因のほとんどは、子ども時代に経験したネガティブな刷り込みによる「内なる子ども」に由来しています。では、過去の経験によってつくられた、その「内なる子ども」をどう癒やせばいいのでしょうか。心理療法士として長い経験を持つシュテファニー・シュタール氏著『「本当の自分」がわかる心理学』よりその対処法について紹介します。

過去の心の傷が引き起こすトラブル

私たちは自分のことを“自らの意思と力で人生を築いていく自立した大人”だと思っていますが、そうではありません。

実際には、子ども時代に経験した、親などの身近な人から受けた「拒絶」や「不安」の結果生まれた「内なる子ども」が、私たちの認識、感情、行動の多くを決めています。

子ども時代の体験は、ポジティブなものよりもネガティブなものの方が強く記憶され、私たちの「無意識」の領域に大きく影響します。そして、思いもよらないところで人間関係に問題を起こすことがあるのです。

これをもっとわかりやすくするため、Aさん夫婦の例を挙げてみましょう。

Aさんは自分にとって重要なことを妻が忘れると、ひどく腹を立てます。最近も好物のソーセージを買い忘れただけで、烈火の如く怒り、妻はそんな些細なことで冷静さを失うAさんが理解できず、呆然としてしまいました。

どうしてこのようなすれ違いが起こったのでしょうか?

それはAさんの心の中にいる「内なる子ども」が「ソーセージを買い忘れる=自分をないがしろにしている」と感じたからです。買い忘れたのが妻だったからでも、それが好物のソーセージだったからでもありません。怒りの強さは、過去に心に受けた深い傷のせいなのです。

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