住信SBIと楽天銀「住宅ローン」方針が真逆の背景 金利上昇で住宅ローンの貸し倒れは増えるのか

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運用利回りと資金調達利回りの差である総資金利ザヤを比較すると、9月末時点で住信SBIネット銀は0.13%に対して楽天銀は0.53%。低利の住宅ローン市場で覇権を握ろうとする住信SBIネット銀と、ミドルリスク・ミドルリターンを求める楽天銀の姿勢が数値に表れている。

楽天銀の住宅ローン離れには、別の事情も見え隠れする。あるネット銀関係者は「融資手数料への依存度が異なる」と指摘する。

昨今の住宅ローンは金利が低い代わりに、顧客が借り入れ時に融資手数料を支払う商品が主流だ。住信SBIネット銀の手数料は借り入れ額の2.2%で、5000万円の融資を受ける場合は110万円を支払う。対する楽天銀は借り入れ額にかかわらず、一律30万円。手数料への依存度が低い楽天銀は、住宅ローンを絞る抵抗が薄かったと言える。

楽天銀のほうが先に金利が上がる?

日本銀行は早ければ来春にも、マイナス金利を解除する観測がある。国内金利が本格的に上昇に転じた場合、楽天銀の住宅ローン金利の方が先に反応しそうだ。

住宅ローン金利は、基準金利から顧客属性に応じて優遇幅を引き下げた水準が実際の適用金利となる。住信SBIネット銀、楽天銀の両行とも変動金利型が大半を占めるが、優遇幅は契約時点で決まっているため、実行済みの住宅ローン残高の金利水準は基準金利の動向が左右する。

基準金利は住信SBIネット銀が最優遇貸出金利を指す短期プライムレート(短プラ)、楽天銀が市場金利にあたるTIBOR(東京銀行間取引金利)を参照している。

一般に、金利上昇局面ではTIBORが迅速に追随する一方、2009年から横ばいの短プラは、現状マイナスの短期金利がゼロないし2009年当時の0.1%水準に戻っても反応しない可能性がある。つまり住信SBIネット銀よりも、楽天銀のほうが基準金利が先に上がりそうなのだ。

はたして住宅ローンの貸し倒れは増えるのか。住信SBIネット銀と楽天銀のどちらの見立てが正しいか、早ければ来年にも明らかになりそうだ。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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