松浦弥太郎が「必要以上の経済活動をしない」理由 「ドクター・ユアセルフ」できる自分になる

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さらにエッセイを書くことが習慣になっていれば、どんなできごとが起こっても「エッセイの種になる」と前向きにとらえられるようにもなるでしょう。あたらしい「秘密」を見つけることができそうだ、と。

だからこそ、まだ感情がたかぶっているときに書くのでは早いのです。

夫婦喧嘩も肯定することができた

エッセイストのように生きる
『エッセイストのように生きる』(光文社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

『今日もごきげんよう』(マガジンハウス)という僕のエッセイ集にある「夫婦喧嘩」という一篇。タイトルどおり、いま読むと笑ってしまうような日常の些細な喧嘩の様子がありのままに描かれています。

けれどその喧嘩の描写のみで終わらせるのでは、エッセイとは言えません。そこからコミュニケーションや夫婦関係について考えをめぐらせ、自分なりの発見に落とし込んで、はじめてひとつのエッセイになっていきます。

もし、腹を立てている最中や仲直りする前に「こんなことがあって腹が立って……」と書いていたら、なにも理解できないままで、感謝にまでたどり着くことはできなかったでしょう。落ち着いて考えたうえで筆を執ったからこそ、「ありがたいな」と肯定することができたのです。

「全肯定」で生きる。

エッセイストは、いやなことも前向きに味わい尽くせる生き方なのです。 

松浦 弥太郎 エッセイスト

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まつうら やたろう / Yataro Matsuura

1965年、東京生まれ。『暮しの手帖』編集長、「クックパッド」を経て、2015年7月にウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。「正直、親切、笑顔、今日もていねいに」を信条とし、暮らしや仕事における、たのしさや豊かさ、学びについての執筆や活動を続ける。著書は、『しごとのきほん くらしのきほん100』『センス入門』『松浦弥太郎の「いつも」』『今日もごきげんよう』『それからの僕にはマラソンがあった』『僕が考える投資について』など多数。

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