25年間「選挙で当選見込みない人も追う」彼の熱意 選挙を取材し続ける、畠山理仁さんに話を聞く
──やりたいことというのは、政策の実現なのでしょうか。
それもあると思いますけど、こういう考えをもっている自分を、世の中の人がどう評価するのかを見てみたいんじゃないですかね。選挙は投票数で、数字が出ますから。
選挙に出ると決めたら、立候補する人たちはそのことに全神経がいくのでしょうね。選挙に出るみなさんが、ものすごく楽しそうに見える。実際、立候補するにはたくさんの煩雑な書類に記入しないといけない。ゲームを攻略するために、没頭するのと似ています。
──ゲームと似ているのですね。
なかには孤独を感じながら立候補されている人もいらっしゃるのですが、街頭演説をしていて立ち止まって声をかけてくれる人がいたりすると、候補者がもう本当に嬉しそうな顔をしているんですよね。
声をかけた人も、いいことをしたという感じで通りすぎていく。あるいは、目標300万票と言っていた人が3000票しかとれなくて、落ち込んでいるのかと電話してみたら、『こんなにも』と感激して『また出ます』という。ゲームのような、中毒性はあります。
当選する確率が低くても立候補する
──そういう人たちを見ていると、畠山さん自身も元気づけられるのでしょうか。
そうですね。選挙に出る人たちは僕よりも年上の人が多くて、70歳を過ぎた人たちもおられます。そんな勝ち目もないのに、と世間の人からは呆れられるわけですよね。それでも立候補している姿を見ていると、僕もあと20年、自由に生きても大丈夫かなと思えます。
──映画を観て残像としてこびりついているのは、階段を駆け上がる、走る場面がいっぱい出てくる点です。
1つの場所で時間をとってしまうと、次の候補者の演説に間に合わない。できるかぎり移動時間を短縮したいというのがあるのと、選挙の演説というのはまず前座の人がしゃべって、候補者本人にマイクを渡すんです。だから声が聴こえてくると、誰の声なのか確認したくて、つい身体が動いてしまいます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら