25年間「選挙で当選見込みない人も追う」彼の熱意 選挙を取材し続ける、畠山理仁さんに話を聞く
――映画を観た人から一様に驚かれる場面もあるそうですね。
映画の中で『私は超能力者だと思っているんです』と立候補されている人が話しだす場面があるんです。ビデオを向けて取材している僕が、それを聞いても表情を変えなかったことに驚かれるんです。
驚かないのはなぜかというと『テレパシーで世界とつながっていて、家の中で街頭演説しているんです』という人に以前お会いしたことがあったので。そのときは、そうやって自分の訴えが届いていると思える心の強さはすごいなあ。幸せなことだと思ったんですよね。
──なるほど。ところで、畠山さんが運転する車で移動中もずっと撮られていますが、「(選挙取材は)もうやめたいんです」と何度か口にされていましたが。
映画に出ていないところでも口にしていて、毎回やめたい。『これが最後。引退試合のつもりで』と言っていますね。
毎週どこかの選挙に行っている
──「やめる、やめるオジサン」なんですか?
そう。年中閉店セールをやっているような。アハハハハ。それはもう取材すればするほど持ち出し。赤字で。倹約につとめていますが、ガソリン代だとか遠方への交通費とか。毎月のカード決済日が恐ろしい。真剣にやめようかと相談したら、妻から『あなたしかやれないんだから、やめたらいけない』と逆に背中を押されてしまって……。
──もしも取材費の心配がまったくなければ?
家にはいないです。ぐるぐる毎週どこかの選挙に行っていますよ。どんなに小さな選挙でも熱烈な支援者がいて『このひとが立候補してくれたから来てください』と言われると、もう行きたくなる。
僕はクジ運が強くて、行ったら必ず面白い場面に遭遇する。だけど、それをお金にしていく自信がないんですよね。
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