25年間「選挙で当選見込みない人も追う」彼の熱意 選挙を取材し続ける、畠山理仁さんに話を聞く

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インタビューの面白さでいうと、取材を受け慣れている有名人の答えはだいたい予測がつくんです。だけど、会ったことのない人に話を聞きにいくというのは、最高にドキドキするじゃないですか。この人は、いったい何を話すんだろうか。毎回が宝探しですよ。

――宝探し、ですか?

そうです。しかも選挙にはハズレがないですから。

――ハズレなし?

そうです。そうです(笑)。

立候補には相当なエネルギーが必要

――畠山さんは、20年間続けてきた選挙取材の成果を『黙殺』という本に書かれ、開高健ノンフィクション賞を2017年に受賞されています。たいていのライターだとそこを区切りに次のテーマを探されるのに、その後も選挙の取材を続けられています。選挙取材の魅力はどこにあるのでしょうか。

いきなり道端で知らない人に『あなたの人生を聞かせてください』と言ったら相当ヘンな人ですよね。でも、選挙だと『俺の話を聞いてくれ』と手を挙げている人に、『聞きます、聞きます』とこちらから手を挙げるので、立候補する皆さんから喜ばれます。

畠山理仁 選挙
取材中の畠山理仁さん(写真:©️ネツゲン)

選挙に出るには、相当なエネルギーがないとできない。参議院(※参議院選挙区)だと立候補するために300万円の供託金を突っ込むわけですよね。自分の話を聞いてくれ、と言うために。

──突っ込む?

そう。これはもう突っ込むとしか表現のしようがない(笑)。しかも、当選する可能性が高くないというのは本人もわかっていて、それでも出るんですから。何が源なのか知りたくなりませんか?

──25年も取材されて、謎は解明されつつあるのでしょうか。

「やりたいことを、やりたいんだ」ということは共通していて。立候補するために借金をする人もいますし。だけども、お金がないからやめようとは考えないのは分かってきました。

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