「裸のムラ」が描く車中泊一家に流れる忖度の空気 自由な生き方に見える家族が抱える大きな問題
━━最初は家族のパートが面白いのでそちらに気をとられていましたが、市井のパートのひとたちの表情が豊かな一方で、政治のパートに出てくるひとたちはノッペリとしていて、「役」を演じているようで表情もツマラナイ。比較対象として見ると、すごく印象深かったです。
対比ということでは、あらゆる対比を意識しました。この映画のもともとの出発点は、男性中心の「ムラ社会」がつくりだしている空気感を描くことでした。
それには行政、県政だけではダメで、そこから弾きだされた人たちも入れようと。その1つが石川県在住のムスリムの人たちです。さらに、同調圧力の強い男ムラの中で、自分のやりたいことを貫いている人たちという視点で、バンライファー(車中泊をしながら生活する人々)の話を入れました。
県政を対比しながら描く
━━そうすると、まずは県政の話を描きたい、という部分から出発して、家族の話は後から思いついたのでしょうか。
そうです。男性中心のムラ社会である県政を描きながら、ムスリムとの対比を意図しました。ムスリムのヒクマさんには、ムラ社会のダメなところを厳しく指摘してもらう役回りを演じてもらいました。
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