「裸のムラ」が描く車中泊一家に流れる忖度の空気 自由な生き方に見える家族が抱える大きな問題

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石川県に住むバンライファーの中川さん。娘のユイちゃんは毎日パソコンで日記を書いている(写真提供:(C)石川テレビ放送)
保守王国と言われる石川県。谷本正憲前知事は、現職最長となる7期28年に渡り石川県政の舵取りを担ってきた。ところが相次ぐ谷本氏の失言や、長期県政に対する周囲の忖度など、さまざまな問題も浮上する。
他方、周りの人々への同調圧力は政治に限った話ではない。小さな社会である家族の中でも生まれている。石川テレビの報道ディレクターである五百旗頭幸男(いおきべ ゆきお)さんが監督した「裸のムラ」(10/8より都内のポレポレ東中野などで公開)では、石川県政と石川県内で生活を営む3組の家族に焦点を絞り、それぞれに流れる「ムラ社会」の空気感を描いている。五百旗頭監督に撮影の裏側を聞いた。
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━━最初は家族のパートが面白いのでそちらに気をとられていましたが、市井のパートのひとたちの表情が豊かな一方で、政治のパートに出てくるひとたちはノッペリとしていて、「役」を演じているようで表情もツマラナイ。比較対象として見ると、すごく印象深かったです。

対比ということでは、あらゆる対比を意識しました。この映画のもともとの出発点は、男性中心の「ムラ社会」がつくりだしている空気感を描くことでした。

石川議会の知事席に置かれている透明の水差しの水滴を制服の女性職員が丁寧に丁寧に拭いている。映画では合計3回登場し、映画のテーマの1つである「ループ」ともつながる(写真提供:(C)石川テレビ放送)

それには行政、県政だけではダメで、そこから弾きだされた人たちも入れようと。その1つが石川県在住のムスリムの人たちです。さらに、同調圧力の強い男ムラの中で、自分のやりたいことを貫いている人たちという視点で、バンライファー(車中泊をしながら生活する人々)の話を入れました。

県政を対比しながら描く

━━そうすると、まずは県政の話を描きたい、という部分から出発して、家族の話は後から思いついたのでしょうか。

そうです。男性中心のムラ社会である県政を描きながら、ムスリムとの対比を意図しました。ムスリムのヒクマさんには、ムラ社会のダメなところを厳しく指摘してもらう役回りを演じてもらいました。

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