「裸のムラ」が描く車中泊一家に流れる忖度の空気 自由な生き方に見える家族が抱える大きな問題

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一方でソニーを退職してフリーの企業広報をしながらバンライファーとして自由に生きている中川さんと、同じくバンライファーであり、自由に生きたいと思いながらも、ムラ社会の目が気になってしまう秋葉さんとの対比も入れています。いろんな矛盾をあぶりだしながら、これらはすべて地下水脈でつながっているのではないか。そういう構成の立て方をしたのです。

バンライファー
フリーの企業広報をしている中川さん(写真提供:(C)石川テレビ放送)

序盤と終盤で異なった見え方をするのが、中川さんだと思います。自由に生きる先駆者のように見えていた中川さんが、終盤になると娘の自由を奪ってはいないかと見え方が逆転してくる。ムスリムの家族の中でも、ヒクマさんが何でも自由な発言をすることで、ヒクマさんの夫の松井さんが彼女に忖度してしまっているように見えてきます。

日々娘に日記を書かせる父親

━━とくに印象的なのはバンライファーの中川さんが、娘のユイちゃんに4歳の頃から日記を書くように言い、ユイちゃんが毎日パソコンのキーボードを叩いている場面です。なぜ日記なのか、中川さんに聞かれましたか?

それは聞きました。まずパソコンありきだったんですね。これからの世の中はネットが使えないとダメだと。

中川さん自身もオンラインで仕事をしていて、パソコンを使えるようにするには日記がいいだろうと。ユイちゃん(映画撮影時は小学1年生)は、思ったことを言葉にするのが苦手だったらしくて、日記で思っていることを書かそうというのもあったようです。

それは聞いたのですが、映画の中では使ってないですね。ただ、それに対して妻のユカさんの『まだ小さいんだから』という眼差しがあって。そこで夫婦でよく衝突していました。

━━夫婦で、娘の教育のことで?

そうですね。中川さんは、「ユカちゃんの言うことはわかるよ」と口では言うんですけど。理解しようとはしていないというのは、見ていて伝わってくる。

━━ユイちゃんはパパが大好きで、嫌われまいと顔色をうかがっているけれど、5年後、10年後どうなっているのかと想わせもします。

それはすごく興味がありますね。だからこのあとも見続けていきたいと思っています。最初に番組をつくったときにも、中川さん一家に注目されるひとは多かったですね。

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