「裸のムラ」が描く車中泊一家に流れる忖度の空気 自由な生き方に見える家族が抱える大きな問題

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━━もうひとりのバンライファーの秋葉さんですが、後半の話しているときの表情が素敵でした。48歳にして無職、自分が何をしたいのか「自分探し」をしているようでした。

(穴水に滞在していた)最初の頃は、悲壮感が漂っていたんですよね。『自由になろうとしてなれなくて、自分を常にとりつくろっている』と妻から指摘されても、なかなか変えられない。

後半の部分は一度、中川さんたちのいる穴水を離れ、久々にまた穴水に帰って来られたときですね。あの人たちは、夏は北上して北海道に行き、寒くなると南下するんです。それで南下の途中で再び穴水に寄ったときには、表情は変わっていて。確かに悲壮感は消えていましたね。

権力に固執する人とふっきれた人の対比

━━何があったんでしょうか。

何があったのかはわからないんですけど、いろんなバンライファーにも会って、ふっきれたのかもしれません。

あのシーンを撮影したのは、谷本前知事が8期目の知事選に出るのをやめるかどうか、というときでした。女性記者にそれを突っ込まれて『場所をわきまえろ』と苛立っていたのです。映画ではその政治パートのシーンのあとに、あの秋葉さんのインタビューを入れたのですが、権力のポジションに固執する人間との対比という意味も込めています。

朝山 実 インタビューライター

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あさやま じつ / Jitsu Asayama

1956年生まれ。著書に『お弔いの現場人 ルポ葬儀とその周辺を見にいく』(中央公論新社)。ほかに『イッセー尾形の人生コーチング』『父の戒名をつけてみました』『アフター・ザ・レッド 連合赤軍 兵士たちの40年』など。

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