2つ目は、予約制観光ガイド付きの観光モデルコースで、1日2便を火・水・木曜日の週3日、走らせるものだ。ルートは予約時に、「歴史建造物をめぐるコース」(約5km)、「倉吉の歴史ヒストリアコース」(約2.4km)、そして「福の神にあえるコース」(約2.8km)から選択する。
そして、倉吉市がもっともこだわったのが、3つ目の「お試しお出かけツアー」だ。予約制で、運行は月曜日のみ。地元地域の成徳地区(約2.9km)、また明倫地区(約4.2km)を日中に2便、走らせたもの。
市では「グリーンスローモビリティは、地域住民にも貸し出し、そしてその存在がしっかりと受け入れられないと、運用が長続きしない可能性がある」として、住民がグリーンスローモビリティを利活用できる方法を探ったのだ。
実際、「お試しお出かけツアー」に参加した4人の地元住民は、車内から改めて街の風景を眺めることで昔話が自然と出てきたり、魚屋やたい焼き屋など、距離的には近くても長らくご無沙汰になっていたお店で買い物をしたりして、自身もお店の方も皆が笑顔になったという。
「人と人」をつなぐことを実感
こうして、さまざまな観点で行った2022年度実証をベースとして、今回筆者が取材した2023年度実証実験へとつながっていく。期間は2023年10月1~31日の1カ月で、その内容は大きく3つある。
1つは、2022年実証のような、地域住民お出かけツアー(月)、観光モデルコース(火・水・木)、定時定路線運行(金・土・日・祝)。2つめは、自動車交通静穏化(エリア20)の実証実験。
そして3つめは、利用者が集中しがちな琴櫻(ことざくら)・赤瓦観光駐車場の運用停止と、琴櫻・赤瓦バス回転広場の利用転換の実証実験(期間中の土日のみ)。琴櫻は、地元出身の大相撲力士で第53代横綱だ。
実際に、定時定路線に乗車してみた。全体を3つの区間として、Aコース/Bコース/Cコース(それぞれ乗車時間は約15分間)としていて、基本的には終着点で待っている人が優先で乗るが、今回はたまたま3コースとも乗車定員以内だったので、筆者は3コースを連続して乗った。
通称は、地元に公園などがある打吹(うつぶき)にちなんで「U-MO(ウーモ)」という。
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