U-MO走る倉吉市「ぼちぼち」な街づくりの可能性 グリスロが生み出す地域社会と観光の新たな姿

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倉吉市の赤瓦・白壁土蔵群エリアを中心とする古い町の道路幅は全体として狭く、場所によっては乗用車1台がギリギリ通れるような幅の狭い道路もあった。

また、プロムナードと呼ばれる旧国鉄倉吉線廃線跡を整備した区間は、路面の凹凸が大きいものの、周囲には地元の方が丁寧に手入れをしている花々があり、きれいであった。

クルマ1台がやっと通れる程度の狭い道も多い(筆者撮影)
クルマ1台がやっと通れる程度の狭い道も多い(筆者撮影)

市によれば、こうした花々を植えている地元住民が「孫に見せてあげたい」と孫と一緒にU-MOに乗ったところに観光客が乗り合わせ、「おばあちゃんと孫の仲の良い会話にとても癒やされた」という声があったという。

今回の試乗でも、打吹公園を行くルートで「この子がこれに乗ってみたい、というので初めて体験した」というおばあちゃんと孫に遭遇した。

「いつも一緒に散歩に行こうといってもなかなかきてくれないので、今日はとても嬉しい」という。そんな2人の微笑ましい姿を見ていたら、こちらも自然に笑顔になった。

また、通行する人や地元の人にこちらが手を振ると、自然な笑顔を返してくれる。なんだかホッとした気持ちになった。

こうした実証実験を通じた観光客や地域住民の声が、市にとっては実証実験の“真の成果”となり、市議会、警察、交通事業者に対してグリーンスローモビリティ導入に向けた説明がしっかりとできることにつながっていく。

運転するのはタクシードライバー

ドライバーのガイドが良かったことも、付け加えておこう。U-MOのドライバーは普段、地元のタクシーを運転しているとのことだ。

市によれば、当初は地域住民が自ら運転する方法も検討したが、幅の狭い道や高低差が大きい場所があることもあり、「運転はプロドライバーにお願いしたい」という声が多く、「そうした意見を尊重した」と説明する。

打吹公園内の狭い道路を注意深く走行するドライバー(筆者撮影)
打吹公園内の狭い道路を注意深く走行するドライバー(筆者撮影)

タクシードライバーの中で「ぜひ、グリーンスローモビリティを運転したい」と自ら志願する人は少ないというが、ドライバーは皆、親切だし運転も丁寧だ。

中には、観光ガイドツアーではない定時定路線の場合でも、乗車した人に十分な地元情報を提供できるよう、自ら地域の写真を撮って個人的な資料としてまとめている人もいる。

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