税務署に狙われる「経費」アウトとセーフの境界線 マッサージ代やスーツ代はなぜダメなのか?
そんなわけで仕事でも使っている私服は経費にしていませんが、勝負スーツは経費にしています。最悪、税務調査で「ダメ!」と言われることは覚悟しつつ経費にしています。なぜかというと、これも裁判の中で示された見解ですが、
「専ら、または、主に家庭において着用するのではなく、これを除き、その地位、職種に応じ、勤務ないし職務上一定の種類、品質、数量以上の被服を必要とする場合には、その被服費の支出は勤務についても関するものとして、家事費ではなく、家事関連費であると解するのが相当である」
「被服費の支出も、勤務上必要とした部分を、他の部分と明瞭に区分することができるときは、当該部分の支出は必要経費になると認める余地がある」
とあるからです。ざっくり要約すると「職業によっては、スーツでも明確に仕事とプライベートを分けることができれば経費にできるよ!」ということです。
スーツが認められそうな職業としては、弁護士や税理士、営業マンなどスーツを着ているのが当たり前の職業の方たちです。弁護士がTシャツで出てきたら「こいつ大丈夫か?」と、仕事を依頼する気にならないですよね。
私は勝負スーツ1着だけ「経費」にしていますが、職業が税理士であることや、接待・新聞取材・TV出演目的でのみ利用しており、このスーツはつねに職場で保管し、スタッフもそれを見ています。
調査官の方に「プライベートで着てないことを証明できるのですか?」と言われたら、スタッフに「ボスはスーツをいつも事務所に置いていて、プライベートで着てませんよ!」と証言してもらおうと思っています。
マッサージ代は?
このように、服が一般的に経費にならない理由を把握したうえで、それを覆す「経費になる」という主張を作って経費にするのはわれわれ納税者の自由だと思っています。
その主張が正しいかどうかは税務調査の際に答え合わせをすればいいのです。仕事に必須のアイテムと言えばパソコン。1日に何時間もパソコンを使っていると肩こりや腰痛がひどくなりますよね。
そうなると、作業の効率も落ちてしまいます。それで、この腰痛を解消しようとマッサージに行く方も多いと思います。
そのとき、きっと誰しも脳裏に「あれ、これってもしかして『経費』になるんじゃないか?」「いや、経費にしたい!」「というか、経費じゃないなんておかしい!」と思うのではないでしょうか。
この整体マッサージの費用は、そもそもパソコンを使わなければ(つまりは仕事をしなければ)発生しなかったものですからね。
そして、マッサージの結果、体がすっきりすれば、その後の仕事の効率もアップします。そうであれば必要経費、というか当然「経費」でしょうと思うのは当たり前のことかもしれません。
私は税理士ですが、私も「経費でしょ!」と思っています(笑)。ただし、「経費」にはしていません……。
本当に残念なことに、基本的にマッサージ代は経費にできません。経費のルールに戻って考えてみましょう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら