税務署に狙われる「経費」アウトとセーフの境界線 マッサージ代やスーツ代はなぜダメなのか?
では、順に見ていきましょう。
私は税理士をしていますが、普段は社員の管理(マネジメント)の仕事をしているので(お客様対応はスタッフに任せています)、事務所へ行くときも夏はTシャツにジーンズ、冬はコート・ジャケットにジーンズというようなラフな恰好です。毎日私服で、スーツを着るのは年に数回。フリーランスの方に近い服装かもしれません。
スーツは経費になる?
そんな私は事務所に着ていくTシャツやジャケット、ジーンズは経費にしていません。接待の時や新聞の取材、TV出演するときに着用する目的で購入した「勝負服」だけを経費にしています。本当はもっとTシャツやジャケット、ジーンズも経費にしたいのですが、我慢しています。では、なぜこのような対応をしているのかを解説していきます。
スーツや洋服は、本当に経費にしにくいものです。特に私が職場に着ていくTシャツ。プライベートでも仕事でも使える、家事関連費と個人的には思っています。そして、家事関連費を経費にする要件は、
・業務遂行上必要な部分を明確に区分できること
この2つを満たす場合のみ仕事に必要な割合分だけ経費にでき、明確に区分できない場合は業務上必要であっても1円たりとも経費にできないというルールになっています。
このため、Tシャツなどの服は経費にしていません。どこまで仕事で着ていて、どこからプライベートで着ているか曖昧だからです。
と言いつつ、本当は1日5時間以上働いているので「起きている時間18時間のうち、5時間は利用している!」ということでこの割合で経費にしたいとは思っています。でも、経費にしていません。
本当は、「個人事業主が仕事に使う車も家事関連費として使った時間で按分できる。これとTシャツも同じじゃないか!」と思っていますが、諦めています。
服やスーツが経費になりにくいことに関連するのですが、過去に京都大学の教授がスーツを経費にした結果、税務調査で「ダメ!」と言われ裁判にまで発展した事例があります。そして裁判の結果、「スーツは経費ではない!」と判決が下っています。
その判決の中で「被服費は、一般的に個人的な家事消費たる家事費(プライベートなもの)に属すると解するのが相当である」と示されています。私服を仕事で使っていても、家事費(プライベートなもの、そもそも家事関連費ではない)だから経費にならない!というわけです。
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