中国経済、崩壊する?北京大MBA生の考察【前編】 中国にも「失われた30年」が訪れてしまうのか

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刘俏教授の講義は合計約3時間あり、そのうち1時間ほどは中国経済に関しての内容で、「中国経済にはまだ発展の余地が大いにある」というお話でした。

その内容を簡単に説明すると、「TFP(全要素生産性)を維持、もしくは成長させることで、中国経済にはまだまだ大きな成長発展の余地があり、中国にはそれを実現させる可能性が十分にある」というものでした。

刘俏(リュウチャオ)教授の講義の様子(写真:筆者提供)

中国経済の発展の鍵は「TFP」

TFP(全要素生産性)とは「Total Factor Productivity」の略称であり、資本や労働を超えた経済の生産効率や技術進歩を示す指標です。

ひと言で言うと、「技術や効率の向上による生産性」です。GDPの成長に寄与するのは「資本力」「労働力」「TFP」の3つの要素です。

国の成長度合いによって、この3つの要素の重要度が異なります。

国が発展途上の段階においては「資本の投下量増加」が経済成長を促進し、人口が増加していく段階では、教育やトレーニングによる「労働力の増加」が経済成長を促進し、経済が成熟し資本と労働の寄与が限界に達してくると、「TFP」が成長のドライバーとなります。

世界のどの先進国も、「工業化」が完了すると経済が成熟してくるわけですが、その中で2.5%前後のTFP年平均成長率を維持できている国はまだありません

TFPが2%以下に減少すると、経済が縮小傾向になっていきます。中国は、今まで4%前後という高いTFPによって高成長を維持してきましたが、近年は先進国同様に鈍化局面に直面しています。

刘俏教授は「デジタル技術の活用」「インフラ投資」で再工業化を進め、製造業を強化し、「政府+市場」型経済を強みとして、さらなる開放政策と改革で資源の効率的な配分を図り、カーボンニュートラル目標達成に向けて巨額の投資を行うことで、経済を革新し、生産性を向上させることができると述べています。

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