黒岩知事が語る「神奈川版ライドシェア」の現実味 独自制度は「移動の足」確保の切り札になるか

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――10月20日に開かれた第1回目の検討会議の手ごたえは。

検討会議では、出席者からいろいろな問題意識等々を出していただいた。そこで出た課題を今後どう乗り越えていけるのかという議論が始まったので、私は非常にいいスタートが切れたと思っている。

――三浦市では夜間の需要不足が甚だしく、ある事業者は2022年7月から営業時間を5時~19時に短縮しています。そのような状況下でビジネスとしてライドシェアが成り立つのでしょうか。

おっしゃるように、検討会議では三浦市内のタクシー会社から「夜間需要があればわれわれも営業している。需要がないからやっていないんだ」という旨の話があった。たしかにそうかもしれないが、これは「鶏が先か、卵が先か」みたいな話でもあると思う。

夜にタクシーがつかまらないからこそ、外出しても早めに帰ってしまったり、お酒を飲みに行くのをやめたりすることもあるかもしれない。そういう状況下で、一般ドライバーの参入によって「移動の足」を確保できたなら、新たな需要が生まれるのではないかと思っている。

流れを見つつ、できるだけ早くやりたい

――神奈川版ライドシェアはどれくらいのスピード感で進めるのですか。スケジュールを教えてください。

三浦市でパッと手が挙がったというのは、つまり夜間の移動の足不足が三浦市にとって切実な問題だということだ。夜にタクシーがつかまらないことで人が来ないとなると、地元経済にとってダメージが非常に大きい。

切実だということは、なるべく早くやりたいということだと思う。しかし、強引に拙速で進めてさまざまな問題が起これば持続可能ではなくなる。なので、早くやるべきだとは思うが、早く合意を取れる状況になってくるかどうかは、これからの流れを見ていかなくてはならない。私としては、できるだけ早くやりたいという気持ちはある。

――将来的には三浦市以外にも広げていくのですか。

それは地域が手を挙げるかどうかだ。われわれとしては、手を挙げてくれた地域でいろいろな形で検討をし、一緒にやっていこうと思っている。なので、三浦市でライドシェア案が1つの形にまとまったとしても、これを全区、全県に展開しようと呼びかけるわけではない。三浦市の姿を見て他の市町が「うちもやってみたい」と言うなら、それは「どうぞ」とノウハウは提供する。

――今後広げるにしても、市や町によってライドシェアのシステムをカスタマイズしていくようなイメージですか。

それはいろいろあるだろう。そのままのシステムでやっていくところもあるだろうし、違うやり方でやってみたいというところもあるかもしれない。それはそれでいいと思っている。

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