黒岩知事が語る「神奈川版ライドシェア」の現実味 独自制度は「移動の足」確保の切り札になるか
――地域と時間帯を限定し、運行管理をタクシー会社が行うことが本案の特徴です。なぜ一般的なライドシェアではなく、「神奈川版」としたのでしょうか。
私自身、アメリカでライドシェアを実際に使ってみて、非常に便利で安心感もあると思った。乗客による運転手の評価制度など、素晴らしいシステムだと思ったが、これをいきなり日本にポンと持ってきても、実現は難しいだろうと考えた。
アメリカなどでやっているライドシェアが、今あのような形でうまくいっているのは、それなりの、ある種の歴史を重ねてきているからだ。利用者が運転手を評価するシステムがあって、評価の高い運転手には仕事が集まり、評価の低い運転手は呼ばれなくなっていくというメカニズムが働いているから、優良ドライバーが選ばれていく。
私は政策を考えるうえで「目線」という言葉をすごく大事にしているが、利用者目線で考えると、一般ドライバーの車に乗るときにそのドライバーがどんな人かわからないと不安だろう。乗った時にどこかに連れていかれるのではないか、何をされるかわからないという怖さがあるだろう。そういう思いを抱かせるのは利用者目線に立った話ではないと考える。
利用者目線でどうあるべきかを考えて、県庁内でライドシェアに関する検討会議を何度か重ねていくうちに、タクシー業界と一体となった新しい形のライドシェアができないかと思った。ドライバーや車両を含めて、一番ノウハウを持っているのはやはりタクシー業界なので、ドライバーの面接や研修、車のチェックをやっていただければ、利用者にとっても安心できる仕組みが作れると考えた。
三浦市がいち早く手を挙げた
――神奈川県の中でも、なぜ三浦市でまず始めようと考えたのですか。
神奈川版ライドシェア案をまとめて発表したところ、三浦市がいち早く反応してくれた。三浦市では夜にほとんどタクシーがつかまらなくて困っているという話だった。三浦市が手を挙げてくれて、神奈川版ライドシェアが地域限定を標榜していたのもあって、まず三浦市でやってみようということになった。
検討会を立ち上げようと思い声をかけたところ、三浦市だけではなくて、市内の2つのタクシー会社、神奈川県タクシー協会、国土交通省もメンバーとして入ってくれて、それによって第1回目の神奈川版ライドシェア検討会議を開く運びになった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら