ソニー「PS5」テコ入れで十時社長が異例の舵取り 大黒柱ゲーム事業の再成長を阻む「3つの壁」
それだけ重要なゲーム事業の経営にグループの十時社長が自ら乗り出した背景には、ゲーム事業が直面する3つの課題がある。
1つ目の課題はPS5本体の販売の伸びが鈍化していることだ。ゲーム業界ではゲーム機本体を格安で売り、ゲームソフトの売り上げやサブスクリプション契約で利益を稼ぐモデルが一般的。PS5も例外ではなく、本体の販売で利益を稼ぐ収益モデルではない。
だが、ソフトやサブスクを利用してもらうためには当然だが本体の普及が必要。販売台数が増えるほどソフトやサブスク利用の裾野が広がり、利益が上がりやすくなる構造にある。
ソニーは2023年度に、PS5本体を2500万台販売する目標を掲げている。発売後3年間で6000万台を売ったPS4に対して、PS5は計画どおりなら3年間で6350万台を販売することになる。年間販売台数としてはプレイステーションシリーズで歴代最多になる見込みという。
期待を下回った販売台数
しかし、足元の販売台数が振るわない。4~6月の3カ月では販売台数が330万台だった。ゲーム機本体の販売台数を集計・公表している海外のサイトVGChartzによれば、7~9月の販売台数も300~400万台程度とみられる。残りの約1700万台を半年で販売するハードルはかなり高い。
販売台数について問われた十時社長が「期待に届いていない」(8月の決算説明会)と答えるなど経営陣も課題については認識している。11月発売の新型モデルはテコ入れ策の一環だ。
東洋証券の安田秀樹アナリストは「PS5の新型モデルは、従来モデルの課題だったストレージ容量や筐体サイズの問題をある程度克服した」と評価する。そのうえで「年間2500万台は2022年度の”強力な需要”を前提とした目標で、新型モデル投入を踏まえても足元の販売実態から考えると達成はかなり難しい」とみる。
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