「この子たちをなんとか育て上げないと、1人前にするまでは頑張らないと、と思って無我夢中でした。まずは息子の就職が決まったときに一息ついて、その後、娘の就職が決まったときに、やり終えた感がありました。そして、そこから自分のその後の人生を考えるようになったんです」
子どもはいつか親を必要としなくなる。結婚したら、親よりも自分の築いた家族のほうが大切になる。そんな日が来たときに、1人で暮らしていくのは、あまりにも寂しいと思ったそうだ。
そこで、そのときは大手結婚相談所に登録をして、再婚相手を探した。
「2年間活動しましたが、いいご縁に恵まれませんでした。ただ当時は働けば自分1人の生活くらいなんとかなるという、気丈さがあった。ところがコロナになり、60歳という年齢が見えてきたときに、“私は、いつまで働けるのだろう”という考えが頭をよぎるようになりました」
現在はある会社で社員として働き、1人で生活していけるだけの給料は稼いでいる。60を過ぎたら減給にはなるが、再雇用で65歳までは働くつもりだ。ただ、その先のことを考えると、不安も大きいという。
「夫の治療費にずいぶん貯金を使って、亡くなってからは子どもとの生活費を私が働くことで支えてきました。学費などは実家に援助してもらいましたが、そんな状況だったので、大した貯金額もありません。65歳を過ぎたときに、年金だけで生活していけるかどうか」
還暦でもあと30年生きる
厚生労働省の「簡易生命表(2022年)」によると、平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳となっている。平均寿命から見たら、みわは、あと30年近くは生きることになる。
「でも、もっと短いかもしれないし、もっと長いかもしれない。人は、死ぬ時期を決められないじゃないですか」
いつまで現役で働けるのか。現在、賃貸住宅に住んでいるが、その家賃を払い続けることはできるのか。今の家賃が払えなくなってもっと安いところに移りたくても、年金生活の身で借りることができるのか。病気になったときに、誰が身の回りの世話をしてくれるのか……。
不安要素は限りなくあり、考え出したらキリがない。
「再婚相手は、できたら住む家のある方がいいです。雨風しのげる住処があれば、たとえ年金生活になったとしても、お相手と年金を合わせて、細々と暮らしていけると思うんです。何より、そばに人がいてくれるというだけで、1人で老いていくよりも、心強いじゃないですか」
コロナ禍で、ストップさせていた婚活だったが、コロナでの行動規制がなくなった今、筆者のところで婚活を再開させることにした。
「60歳までには決めたいです。1つ歳を取れば、また条件が不利になると思うから」
現在、果敢にお見合いをしている。
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