「厳しいマネジメント」=ハラスメントではない 厳しさと優しさを場面によって使い分ける
期初には(1)メンバーの役割や目標を決め、(2)その目標に対して基準を明確にし、(3)チームで仕事をするうえでのルールを決める。期中にはさまざまなシーンで(4)基準・ルールが運用され、(5)(6)目標の達成度合を含めた日々の活動の進捗を確認するとともにフィードバックを行います。(7)そしてその中ではさまざまな伝え方でメンバーとコミュニケーションをとります。
それら7つのシーンの中で、例えば「今期の目標は厳しい」という場合に使う「厳しい」は、(2)の基準のレベルについて言及しています。また、「感情的に怒る厳しいマネジャー」のように(7)の伝え方について言及していることもあります。
多くのメンバーの話を聞いていると、ここで挙げた(1)~(7)が混ざり合ってそのマネジャーが厳しいか優しいかを判定しているようです。
昨今メンバーに人気のない、一歩間違えばハラスメントと言われかねない厳しいマネジメントとは以下のようなものです。
「基準が高すぎて」(2.基準のレベル)
「仕事に関係のないルールが細かすぎて」(3.ルールの範囲や細かさ)
「ルールや基準から外れることに厳格で」(4.基準やルール運用のあり方)
「1日に何度もメールや電話で細かく状況を聞いてきて」(5.確認の仕方)
「弱みばかりを指摘されて」(6.フィードバック内容)
「言い方が高圧的でちょっとしたことですぐに怒る」(7.伝え方)
では、多くのマネジャーは(1)~(7)すべてにおいて優しくすればいいのでしょうか。
もちろん、そんなことはありません。そうなるといわゆる「ぬるい組織」ができあがってしまいます。ぬるい組織とはマネジャーがメンバーに対して過保護になりすぎて、メンバーが達成感や成長実感を得られない組織を指します。
それでは、どのように厳しさと優しさのメリハリをつければいいのでしょうか。
理想の状態をすり合わせる
冒頭で「理想の状態がすり合っていないとフィードバックはうまくいかない」と述べました。ここにヒントがあります。
1つたとえ話をしましょう。メンバーのAさんはいつもリモート会議のスタート時間に少しだけ遅れてきます。とくに悪びれる様子もありません。一方、メンバーのBさんは必ずスタート時間数分前にはスタンバイをしています。そのためBさんはマネジャーがAさんに遅刻について何も指摘しないことにいつもモヤモヤしています。
さて、問題はどこにあるでしょう。Aさんが時間にルーズなことでしょうか? それともマネジャーがAさんに注意をしないことでしょうか?
そうではありません。マネジャーが理想の状態をメンバー2人と共有していないことが最も大きな問題なのです。
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