「厳しいマネジメント」=ハラスメントではない 厳しさと優しさを場面によって使い分ける

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次の図に(1)~(7)で厳しさと優しさのどちらを軸におくかについて整理しています。

厳しさと優しさを使い分ける7つの場面
(筆者作成)

7つの場面にあてはめて考えると、図のように(1)(2)(4)については厳しさに軸を置いたほうがよいということになります。

(1)と(2)に示されている役割と目標そしてそれらの基準とは、顧客に価値を提供し、会社を成長させるために必要なことを定義している最低限ゆずれない理想の状態だからです。

ここをマネジャーが緩めてしまうと組織はぬるい組織になりますし、ここをメンバーとしっかり共有しないと進捗確認やフィードバックが途端に納得感のないものになってしまいます。

メンバーを疑い始めると職場の雰囲気は悪化する

一方、(1)(2)(4)以外の項目については必要以上に厳しくある必要はありません。

進捗確認やフィードバックをしてもマネジャーにとって思わしくない状況が続くとき、ともするとマネジャーは「メンバーは自分とは違い能力もやる気も足りない」という考えに陥ってしまいがちで、さらにルールを細かくし、フィードバックでは弱みばかりに目を向けてしまいがちです。

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しかしマネジャーがメンバーを下に見て疑い始めたらメンバーのマネジャーに対する不信感も高まり職場の雰囲気は悪化していきます。

(3)(5)(6)(7)の場面で厳しくすることは一歩間違えると「マネジャーである私はメンバーであるあなたたちのことを信用していません」という宣言になってしまうからです。

マネジャーが役割、目標やその基準をしっかりと伝えていないがゆえにメンバーが自立的に動いていない。つまり伝える力、そして伝えたことに対する覚悟が弱いということも原因の1つであることを認識してみることも大切です。

伝えることをきちっとせずにマネジャーがメンバーに後出しじゃんけんをしてしまうからメンバーに納得感が生まれないのです。

和田 真二 人事コンサルタント

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わだ・しんじ / Shinji Wada

早稲田大学理工学部卒業。トーメン(現:豊田通商)、日本オラクルを経て2003年リンクアンドモチベーション入社。組織開発コンサルティング部門長を経て2009年独立。株式会社トゥルーワード代表取締役。2016年よりフィールドマネージメント・ヒューマンリソースに参画。ディレクター。

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