80代の母、主治医に勧められた「胃ろう」すべきか 始めたら中止が難しい「延命治療」という選択

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口からものを食べられなくなったときに、次に提案されるのが「胃ろう」や「中心静脈栄養」です。延命治療ともいえるこれらの方法を受け入れるかどうか、とても難しい判断です(写真:筆者提供)
「住み慣れた自宅で療養したい」「最期まで自宅で過ごしたい」という患者や家族の思いを支えるのが、患者宅を訪問して医療や介護を届ける在宅ケアだ。
これまで1000人を超える患者を在宅で看取り、「最期は家で迎えたい」という患者の希望を在宅医として叶えてきた中村明澄医師(向日葵クリニック院長)が、若い人たちにも知ってもらいたい“在宅ケアのいま”を伝える本シリーズ。
今回のテーマは、延命治療と胃ろう。エピソードをもとに考え方や注意点、知っておくべきことなどについて解説する。

80代の両親の生活を近所で見守っているA子さん(55)。私の学生時代からの友人で、先日「母親の延命治療について悩んでいる」という話がありました。

今年88歳になるA子さんの母親は、7年前に難病であるパーキンソン病と診断され、主に同居する父親が介護しながら、自宅生活を続けています。

ところが数カ月前から、病気の影響で、飲み込みが悪くなる嚥下障害が起こり始めました。そしてそれをきっかけに誤嚥性肺炎を起こして病院に救急搬送され、1カ月間の入院生活を送ることになりました。

高齢者に多い誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎は食べ物や唾液、胃液が気道に入り、そこに含まれていた細菌が肺や気管支で繁殖して炎症が起こる病気です。高齢者に多く、場合によっては死に至る危険性もあります。

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