3000人を看取ってきた医師「断っていい延命治療もある」、最小限の医療で実現する"自然な看取り"。「決断」する日のために知っておきたいこと

余命1週間からの復活
91歳の男性の患者さんは、たんぽぽクリニックに転院する前の2カ月間は絶食で過ごしていました。余命1週間程度と宣告されて、看取りのためにたんぽぽのおうちに入院することになったのです。
私は看取り前の医療は最低限でいいと考えているので、家族(妹さん)に点滴が負担になっていること、楽に過ごすためには点滴をやめて、できるだけ口から食べて、自然にまかせたほうがいいことをお伝えしました。
妹さんもこれ以上しんどい思いをさせたくないと希望されたので、点滴を中止しました。
点滴をやめた翌日、目を覚ました患者さんは「ソーダが飲みたい」と大きな声でおっしゃいます。さっそく、とろみをつけたソーダ水を用意したところ、ゴクンと飲み干して「うまい!」とご満悦です。2カ月ぶりに口にしたソーダはさぞかしおいしかったことでしょう。
すぐに食べる訓練がスタートしました。とろみのあるやわらかいものから、食材をすりつぶしてかためたムース食へ、徐々に食べ物の形態を変えていきます。
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