3000人を看取ってきた医師「断っていい延命治療もある」、最小限の医療で実現する"自然な看取り"。「決断」する日のために知っておきたいこと
感染のリスクが少なく、十分な栄養を供給できるので長期の療養に適している。管理がしやすく、デイサービスやショートステイ、施設などでも受け入れてもらいやすい。
かつて、積極的に胃ろうを行ってきた頃の悪いイメージがあり、現在は避ける傾向がある。体への負担が大きいという誤解も多い。胃の手術をしていたり、ほかの臓器の影響で胃ろうができないケースもある。
●点滴:腕や足の静脈から栄養や水分、薬を補給する。一時的な脱水などの改善を目的としている場合は有用。
水分や電解質の調整はできるが、栄養は不十分なので、長期間続けていると低栄養となり、体内で水分をうまく処理できなくなる。持続的な末梢点滴は、状態の悪化や死に向き合っていない、先延ばしの選択肢といえる。
自分で管を抜いてしまう場合は体を拘束されることもある。デイサービスやショートステイ、施設などでの受け入れ制限が多い。
●中心静脈栄養(IVH):鎖骨の下などにある太い静脈に、太くやわらかい管を通して、栄養や水分、薬を補給する。十分な水分と栄養を補給できる。一定の期間、治療を行うことで状態の改善が見込める場合や、消化管の機能障害で口から食事がとれない場合には有用。
病院の経営管理上の理由で、超高齢者に中心静脈栄養を行うケースが増えている。感染のリスクが人工栄養の選択肢の中では最も高い。自分で管を抜いてしまう場合は体を拘束されることもある。デイサービスやショートステイ、施設などでの受け入れ制限が多い。
●人工呼吸器:自分の力による呼吸では不十分になったとき、機械の力で呼吸を補助する。鼻や口から気管に管を入れる方法(気管挿管)や、のどに孔をあけて管を入れる方法(気管切開)、鼻や口にマスクを当てる方法などがある。
気管切開は食べ物が気管に流れ込む(誤嚥する)リスクがあるので、基本的には食事はできない。
延命治療を選択しないことで起こる奇跡もある
私はこれまで、たくさんの患者さんを看取ってきました。死に近くなったときは、医療を最小限にすることで楽に過ごせるようになり、自然な看取りになると確信をもって言えます。
これまで、点滴をやめたことで食べられるようになり、奇跡的に回復したケースを多々みてきました。患者本人(本人が意思確認できない場合は家族)が必要ないと考える延命治療は断っていい、私はそう思います。

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら