3000人を看取ってきた医師「断っていい延命治療もある」、最小限の医療で実現する"自然な看取り"。「決断」する日のために知っておきたいこと

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感染のリスクが少なく、十分な栄養を供給できるので長期の療養に適している。管理がしやすく、デイサービスやショートステイ、施設などでも受け入れてもらいやすい。

かつて、積極的に胃ろうを行ってきた頃の悪いイメージがあり、現在は避ける傾向がある。体への負担が大きいという誤解も多い。胃の手術をしていたり、ほかの臓器の影響で胃ろうができないケースもある。

点滴:腕や足の静脈から栄養や水分、薬を補給する。一時的な脱水などの改善を目的としている場合は有用。

水分や電解質の調整はできるが、栄養は不十分なので、長期間続けていると低栄養となり、体内で水分をうまく処理できなくなる。持続的な末梢点滴は、状態の悪化や死に向き合っていない、先延ばしの選択肢といえる。

自分で管を抜いてしまう場合は体を拘束されることもある。デイサービスやショートステイ、施設などでの受け入れ制限が多い。

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中心静脈栄養(IVH):鎖骨の下などにある太い静脈に、太くやわらかい管を通して、栄養や水分、薬を補給する。十分な水分と栄養を補給できる。一定の期間、治療を行うことで状態の改善が見込める場合や、消化管の機能障害で口から食事がとれない場合には有用。

病院の経営管理上の理由で、超高齢者に中心静脈栄養を行うケースが増えている。感染のリスクが人工栄養の選択肢の中では最も高い。自分で管を抜いてしまう場合は体を拘束されることもある。デイサービスやショートステイ、施設などでの受け入れ制限が多い。

人工呼吸器:自分の力による呼吸では不十分になったとき、機械の力で呼吸を補助する。鼻や口から気管に管を入れる方法(気管挿管)や、のどに孔をあけて管を入れる方法(気管切開)、鼻や口にマスクを当てる方法などがある。

気管切開は食べ物が気管に流れ込む(誤嚥する)リスクがあるので、基本的には食事はできない。

延命治療を選択しないことで起こる奇跡もある

私はこれまで、たくさんの患者さんを看取ってきました。死に近くなったときは、医療を最小限にすることで楽に過ごせるようになり、自然な看取りになると確信をもって言えます。

これまで、点滴をやめたことで食べられるようになり、奇跡的に回復したケースを多々みてきました。患者本人(本人が意思確認できない場合は家族)が必要ないと考える延命治療は断っていい、私はそう思います。

永井医師
永井医師(写真:主婦の友社)
永井 康徳 医療法人ゆうの森理事長 たんぽぽクリニック医師

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ながい やすのり / Yasunori Nagai

愛媛県の僻地診療所勤務の後、2000年に愛媛県松山市で、四国で初めての在宅医療専門のたんぽぽクリニックを開業。「理念」と「システム」と「人材」のすべてを高いレベルで維持して在宅医療の質を高めることをめざし、現在は常勤医10人、職員100人の多職種チームで在宅医療を主体に、有床診療所、外来の運営も行っている。

平成22年には市町村合併の余波で廃止となった人口約1200人の町の国保へき地診療所を民営化し、開設4カ月で黒字化を達成。そのへき地医療への取り組みは平成28年に第1回日本サービス大賞地方創生大臣賞を受賞。

全国各地での講演を行い、「全国在宅医療テスト」や「今すぐ役立つ在宅医療未来道場(通称いまみら)」「流石カフェ」など在宅医療の普及のための様々な取り組みを行っている。コロナ禍で現地講演会が難しくなってからは、YouTubeで「たんぽぽ先生の在宅医療チャンネル」を開始している。

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