なぜ「指示管理型」マネジャーを目指すべきなのか 部下に細かく指示する管理職は昨今不人気だが

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視野を共有し、メンバーの自立を大切にしながらゴールを目指すこと、これこそが「伴走するマネジメント」において大切なポイントとなるのです。

ビジネスは成果を上げること、目標達成を実現することがゴールであり、マネジャーはそのことに責任を持つ立場です。しかし、同時にマネジャーはメンバーの成長を支援する役割を持ち、それにも責任を負います。

今は、ほとんどのマネジャーが自らも数値責任を負うプレーヤーを兼務するプレーイング・マネジャー化しています。多くのマネジャーが、メンバーのサポートよりも自分の成果に関心を持ち、そこに目が行きがちなのではないでしょうか。

気持ちは痛いほどわかりますが、仮に自分の頑張りでチームの成果が上がったとしても、そこでメンバーが倒れたり、成長できずに前のスキル・レベルに留まったりしているなら、会社からの評価は半減します。

視野を共有することを前提とする「指示管理型」

マネジャーはメンバーの成長を支援する役割を持ち、それにも責任を負う、と書きましたが、正しくは「メンバーの成長を支援し、自立を促すことで、チームとしての成果を上げ、目標達成を実現するのがマネジャーの役割」ということです。

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コミュニケーションを密にして寄り添い、その意向を尊重するだけではメンバーは自立的人材に育ちません。逆に、頭ごなしに命令するだけでも決して自立はしないでしょう。視野を共有することを前提とする指示管理型。すなわち「伴走するマネジメント」が、メンバーが自立することによって目標達成を実現する最善の方法だと私は考えます。

メンバーが指示待ちになり自立できないのは、マネジャーとメンバーどちらかが悪いわけではありません。お互いが少し歩み寄れば解消されます。歩み寄るといっても、それは精神論ではなく、スキルによって実現できます。

そこでカギになるのは「地図を描いて共有すること」であり、「事業の進捗に合わせて地図を書き直して(書き加えて)いくこと」です。地図というのは決して比喩ではなく、文字どおりの地図=マネジャーとメンバーが一緒に作り、更新し、共有するものです。

(『伴走するマネジメント』より)

大事なことは地図のスタイルではありません。チーム目標を結果で示し、構造化し、達成水準を決めて見える化することがポイントです。みんなが同じ地図を持っていれば、旅程で悪天候に見舞われても遭難することはないでしょう。それが「伴走するマネジメント」のあらましです。

和田 真二 人事コンサルタント

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わだ・しんじ / Shinji Wada

早稲田大学理工学部卒業。トーメン(現:豊田通商)、日本オラクルを経て2003年リンクアンドモチベーション入社。組織開発コンサルティング部門長を経て2009年独立。株式会社トゥルーワード代表取締役。2016年よりフィールドマネージメント・ヒューマンリソースに参画。ディレクター。

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