爆走続けるPayPay、「年3割成長」に死角はないか 上場も間近?過熱する経済圏争いで勢い衰えず

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もっとも、ポイント経済圏の競争で今後も勝ち抜き続けるには課題も多い。その最たるものが、子会社であるPayPayカードだ。

「Yahoo!JAPANカード」を前身とするPayPayカードは、2021年末から提供が始まり、2022年度に順次切り替えを進めていった。カードブランドとしての歴史が浅いうえ、ポイントの貯まりやすいゴールドカードの提供も、2022年11月に始めたばかりだ。

クレジットカードはQR決済と並び、決済金額に応じてユーザーにポイントを付与する役割を果たすため、ポイント経済圏を構成する中核的存在と言える。ただ、PayPayカードの2022年度決済取扱高は2.3兆円と、年間カード取扱高が20兆~30兆円規模に達する競合の「楽天カード」や「三井住友カード」の後塵を拝している。

そうした焦りがたたったのか、2023年5月には、PayPayのQRコード決済における他社クレジットカードの利用を今夏にも停止すると発表。他社カード利用にかかるPayPay側の手数料を削減したうえで、ユーザーをPayPayカードへと誘導する狙いだったが、急な方針変更にSNSなどで猛反発を受け、2025年1月へと延期を余儀なくされた。

競合の追い上げをかわせるか

競合の追い上げも無視できない。

共通ポイントの経済圏は目下、5大陣営に大別できる。楽天、PayPay、dポイント、KDDIグループのPontaポイント、そしてSMBCグループとCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)が展開するV・Tポイントだ。現状、ポイント発行額では楽天(2022年実績約6200億円)とPayPay(2022年度実績約6000億円)の2強の独走状態にある。

資本提携の会見に臨んだNTTドコモの井伊基之社長とマネックスグループの松本大会長
資本提携の会見に臨んだNTTドコモの井伊基之社長(左)とマネックスグループの松本大会長(撮影:尾形文繁)

しかし先述の通り、ドコモはマネックス証券の株式を49%取得し、実質的に子会社化する。QRコード決済「d払い」やdポイントなど、ドコモが提供するサービスとの連携により、dポイント会員の金融向けニーズを深掘りし、経済圏の拡大につなげる構えだ。

さらに2024年春には、SMBCグループとCCCの資本提携の下、V・Tポイントの統合も予定されている。ネット証券最大手であるSBI証券との提携も強みで、「SMBCグループの豊富な資金力もバックに還元施策などを強化していけば、PayPayにとって強力なライバルになりうる」(業界関係者)との声も聞こえる。

PayPayの成長は、親会社のLINEヤフーにとっても重要な意味を持つ。ZホールディングスとLINE、ヤフーが統合して10月に発足したLINEヤフーは、PayPayとLINE・Yahoo!JAPANのIDを2024年度中にも連携させる。ID連携により、グループが提供するサービスの相互利用を促していく考えだ。

このまま勢いを持続し、グループ全体の経済圏拡大に貢献できるか。その道のりは決して平坦ではなさそうだ。

高野 馨太 東洋経済 記者

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たかの けいた / Keita Takano

東京都羽村市生まれ。早稲田大学法学部卒。在学中に中国・上海の復旦大学に留学。日本経済新聞社を経て2021年に東洋経済新報社入社。担当業界は通信、ITなど。中国、農業、食品分野に関心。趣味は魚釣りと飲み歩き。

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