爆走続けるPayPay、「年3割成長」に死角はないか 上場も間近?過熱する経済圏争いで勢い衰えず

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決済取扱高の拡大に伴い、業績も好調に推移している。2022年度のPayPayの売上収益は1181億円、最終損益は163億円の赤字だった。売上収益はPayPayカードの連結化も寄与して前年度から倍増し、最終赤字額も448億円縮小している。

PayPayの業績推移

PayPay がQRコード決済のサービス提供を始めたのは、ちょうど5年前の2018年10月。それ以降はユーザー獲得に向けたポイント還元などへの先行投資により、毎年数百億円規模の純損失を計上していたが、ようやく「刈り取り期」が近づきつつあるのだ。

ユーザー数拡大にはさすがに頭打ち感が出てきているものの、PayPayの影近CFOは「(1人当たりの決済回数増などによる)ユーザーの『アクティブ率』引き上げや、PayPayカードのテコ入れなどにより、成長余地はまだまだある」と強気姿勢を崩さない。

ソフトバンクとの連携も強化

さらなる成長への一手となりうるのが、親会社であるソフトバンクとの連携だ。メインブランドのソフトバンクでは10月から、PayPayポイントが貯まりやすく、PayPayカードで支払うと割引も受けられる新料金プラン「ペイトク」の提供を始めた。

PayPayポイントによる還元が増えれば、そのポイントを使うQRコード決済の利用拡大にもつながってくる。この循環により、ユーザーのアクティブ率などを高める狙いだ。ソフトバンクの寺尾洋幸専務執行役員は「PayPayとの事業シナジーをさらに高め、経済圏を広げていく」と強調する。

今後の展望に対する株式市場の期待は高い。シティグループ証券の鶴尾充伸アナリストは「業績の伸びは極めて順調で、2024年度から通期黒字化する可能性が高い。決済以外にも広告などの施策を強化すれば、さらなる収益拡大を期待できる」と分析する。

もともとソフトバンクなどは、PayPayを将来的に株式上場させる考えを示していた。一部報道によれば、アメリカでの上場を軸に計画しているという。ソフトバンクの宮川潤一社長は2022年11月の決算会見で、PayPayの企業価値が同年9月末時点で1兆円弱だったと明らかにしていた。

黒字化のメドが見えてくればバリュエーションが高まることも予想され、市場関係者の間では「早ければ2024年度中にも上場するのでは」との見方もある。上場によって広告など新たなプロダクト開発やマーケティング施策の原資を得られれば、業績拡大に弾みがつきそうだ。

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