SNSで殺害予告、医師への卑劣な「言葉の暴力」 ワクチン不信ではびこる匿名アカウントの実態

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Xにおける岡医師への誹謗中傷は次第にエスカレートして、殺害予告を示唆する投稿が繰り返されるようになった。

「タヒね。○○すぞ。」
「岡秀昭の家の前を通ると臭えって評判だから、○すか」
「醜いし臭いから、○○○しかねーな。」

「タヒ」は漢字の「死」の下部をとった、インターネットの隠語。○の部分に何の字が入るのか、指摘するまでもないだろう。

さらには、岡氏がインスタグラムで知人に限定公開した、家族との画像が、Xに侮辱的なコメントを添えて拡散されてしまう。そればかりか、同一と思われる人物が、岡氏の知人になりすましたアカウントを次々と作成して、執拗に誹謗中傷を続けた。

「匿名の発信者」の身元を特定することは可能

「医師としての名誉や尊厳を、事実無根の誹謗中傷でおとしめる行為は許せませんでした。それにワクチンのデマを放置すると、多くの人の命を危険にさらすことになります。何より私や家族の身に危険が及ぶ可能性が出てきたことを看過できなかったので、弁護士に相談して民事訴訟と刑事告訴の両方で法的措置をとることにしました」(岡氏) 

インタビューに答える岡医師(筆者撮影)

民事訴訟の場合、Xで誹謗中傷の投稿を行った匿名アカウント(発信者)に対して損害賠償請求を行うことになるが、訴訟の相手が誰なのか特定しなければならない。

総務省の誹謗中傷に関するワーキンググループのメンバーで、情報開示請求の第一人者である清水陽平弁護士(法律事務所アルシエン)はこう述べる。

「コロナ禍になって以降、いわゆる″反ワク”の人たちが、匿名アカウントを使って誹謗中傷するケースが目立ちます。デマに踊らされる人が、こんなにも多いのかという実感です。ネットだから身元がバレないと思って誹謗中傷の投稿をするようですが、実際はIPアドレス(インターネットで通信する際の「住所」)や電話番号から追跡して、発信者の身元を特定することが可能です」

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