大学院出ても手取り12万「非正規公務員」のリアル 地方公務員の3割を非正規雇用者が占めている

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上司はタカシさんに「1年目とはいえ即戦力にならなければ」と話し「電話対応が悪い」「書類の内容が支離滅裂だ」など、毎日のように叱責するように。大きなミスをしたときには上司に個室で責められ、「対応で気になったこと」を2、3ページの書面に羅列された。

タカシさんは「このままでは精神的に持たない」と、契約を更新せず1年で退職。心理的なダメージを受け、カウンセリングも受けた。

弁当はタッパーに白米だけという日も

在職中のタカシさんの月収は、手取りで12万円。家賃と生活費を払うと、お金は残らなかった。アルバイトを掛け持ちしようかとも考えたが、当時は休日などに大学院で研究も続けており、時間的に難しかった。

食費を切り詰め、当時安価に購入できた卵とご飯でしのいだ。弁当はタッパーに白米だけという日も。自己研鑽のため専門的な研修を受けたくても、数万円~10万円の研修費と交通費を考えると、とても手が出なかった。

正規職員として行政の支援職に就きたかったが、募集は少なく、希望職種の試験にも合格できなかった。現在は民間の施設で、正社員として支援の仕事をしている。労働環境は良く、収入も約1.5倍に増えたという。

ただタカシさんは、パワハラも低賃金も基本的には「自分が招いたこと」だと考えている。「収入も含めて納得してこの仕事を選んだのだし、パワハラももともとは、実力のない自分に非があった。仕方なかったと思います」。

非正規公務員当事者・経験者の団体voicesのメンバー、山岸薫さんは「社会に自己責任論が蔓延する中、若い非正規公務員の多くはタカシさんのように『この仕事を選んだ自分が悪い』とのみ込んでしまう。非正規公務員の構造的なおかしさに、声を上げようとはしないのです」と話す。

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