「学校80校をリノベ」台湾がデザインを重視する訳 政府関連機関が「法廷の空間デザイン」まで手掛ける

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今年の11月にスペインで開催される「世界デザイン首都(WDC)」では、都市におけるデザイン・インデックス(Design Index)についての研究成果を発表したいと考えています。デザインの効果を指標化し、予算と効果を測ることのできる指標があれば、ますます公務体系への提案もしやすくなりますし、公務体系側も予算の投下がしやすくなります。

世界には幸福度ランキングがありますが、そのランキング上位の都市は、デザインの競争力があるということを伝えていきたいですし、デザイン・インデックスで定義したいと考えています。

都市にデザインが入っていくプロジェクトが開始

──予定している注目のプロジェクトについて教えてください。

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「都市美学」ですね。2023年からは複数の都市で数千万元規模のプロジェクトが始まります。都市における公共サービス、空間デザイン、設備など、さまざまなところにデザインが入っていきます。「デザイン力が台湾を変える」を体現したプロジェクトになるはずです。

──大きな舞台がたくさん用意されていますね。デザイナーの育成やチャンスを公平に与えるという点で、どのような取り組みをされていますか。

デザイン研究院では、さまざまなコンテストやアワードを主催しています。なかには学生向けのものもあり、入賞した学生には賞金の授与があります。新人もキャリアのあるデザイナーも挑戦できる「金點設計獎 Golden Pin Design Award」という権威あるアワードも主催しており、受賞したデザイナーには、政府や企業の案件を紹介するなどしています。

さらに、案件で経験と実績を積んだデザイナーには、私たちが参加する海外のデザイン展などに作品を出展してもらい、グローバルを舞台にキャリアを積んでもらえるようサポートしています。

──政府関連組織がデザイナーをサポートしているのですね。

アジアにはほかにも韓国の「Korea Institute of Design Promotion(KIDP)」がありますし、タイも中央政府がデザインとテクノロジーを重視しています。シンガポールも、公務員のデザイン思考を重視しています。日本はすでにデザイン業界が民間でしっかり発展していますが、台湾はここから世界に追いつかなければなりません。日本には駐在員も派遣してありますし、積極的に交流していきたいと思っています。

(取材実施日:2022年10月13日)

台湾デザイン研究院:https://www.tdri.org.tw/
日本語情報:https://www.facebook.com/TDRI.Japan
近藤 弥生子 ノンフィクションライター

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こんどう やえこ / Yaeko Kondo

2011年より台湾・台北在住。オードリー・タンからカルチャー界隈まで、生活者目線で取材し続ける。東京の出版社で雑誌編集を経たのち、駐在員との結婚をきっかけに台湾移住。現地デジタルマーケティング企業で勤務後、独立して日本語・繁体字中国語でのコンテンツ制作を行う草月藤編集有限公司を設立。台湾での妊娠出産、離婚・シングルマザーを経て、台湾人と再婚。著書に『オードリー・タンの思考』『オードリー・タン 母の手記「成長戦争」』『まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう』『台湾はおばちゃんで回ってる⁈』がある。

ブログ:「心跳台灣」

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