「学校80校をリノベ」台湾がデザインを重視する訳 政府関連機関が「法廷の空間デザイン」まで手掛ける

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もう1つが、司法院をクライアントにした、法廷の空間デザインです。台湾では2023年1月から日本の裁判員制度に相当する「国民法官制度」が開始される予定で、それに合わせて離島を含む22カ所の法廷調査を行い、新北、南投、高雄という3カ所の法廷のリニューアルを実施しました。圧迫感のない、温もりのある、明るくインクルーシブな法廷の空間デザインを、ここから全台湾に広げていきたいと思っています。

そして、選挙へのデザインの導入です。公民投票(2021年)、統一地方選挙(2022年)、総統選挙(2024年)と、規模の異なる投票現場における会場動線や掲示物、投票用紙や選挙啓蒙コンテンツ等のリデザインを実施していきます。

2021年に公民投票の手引きをリニューアル(写真提供:台湾デザイン研究院)

一般民衆向けにもデザイン関連書籍の図書館を設立

一般民衆向けの日常的なところだと、私たちのオフィスがある「松山カルチャー・クリエイティブパーク」に設置した「不只是圖書館 Not Just Library」ですね。

「不只是圖書館 Not Just Library」は一般の方も入場可能(写真提供:台湾デザイン研究院)

このエリアはもともと日本統治時代にたばこ工場だった場所で、現在は市定古跡に指定されています。なかでも当時、大浴場だった場所をリノベーションして、デザイン関連書籍の図書館にしました。

国内外で発行される100種類以上の雑誌、2万冊以上の蔵書が閲覧できます。貸切イベントも頻繁に開催されており、文化の発信基地のような存在になっています。図書館は海外からのゲストにもご利用いただけますので、ぜひ足をお運びください(利用は有料、一般100元)。

──プロジェクトの多くはデザイン研究院から提案されているそうですが、どのように目標設定されているのでしょうか?

もちろん、参加人数やメディアでの報道量といった影響力など、基本的なKPIは設定しますが、より重視しているのはOKRですね。目標としている方向性に即した結果がどれくらい残せたかを大切にしています。なかには数値化できないものもありますが、教育現場へのデザインの導入など、未来へのカギとなるようなものもあります。法廷の空間デザインのように、作ったものをこれから台湾全土へと広めていけることも大切にしています。

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