マクラーレン「デザイン大変革期」を迎える意味 クンタッチ/F40のようなアイコンを作れるか

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マクラーレンの歴史的モデル「F1」「F1 LM」とともに写るトビアス・シュールマン氏(写真:マクラーレン・オートモーティブ・アジア)
マクラーレンの歴史的モデル「F1」「F1 LM」とともに写るトビアス・シュールマン氏(写真:マクラーレン・オートモーティブ・アジア)

2024年5月、マクラーレン・オートモーティブの新しい最高デザイン責任者、トビアス・シュールマン氏が東京にやってきた。

昨年9月に就任したシュールマン氏は、マクラーレン車のデザインを「従来とは違うやり方で変えていこうとしている」と話す。

現代のデザイナーに求められるスキル

自動車デザインの世界にはかつて、「スタイリスト」という職業があった。

大昔の話になるけれど、ゼネラルモータースで「自動車は美しければ売れる」というマーケティングを導入したハーリー・アールが、「アート&カラーセクション」を設立。自動車デザインの歴史書があるとすれば、きっとこのセクションの誕生が1ページ目を飾る。そこで活躍したのがスタイリストであり、行われていたのがスタイリングであった。

しかし、今のデザイナーは「スタイリングという言葉は使わないでほしい」と言う。スタイリングとデザインは違うのだ。その違いを端的に表すのが、今回シュールマン氏が披露してくれた、“新しい考え方”である。

2023年に日本上陸を果たしたマクラーレン750Sスパイダー(写真:マクラーレン・オートモーティブ・アジア)
2023年に日本上陸を果たしたマクラーレン750Sスパイダー(写真:マクラーレン・オートモーティブ・アジア)

ドイツ出身のシュールマン氏は、これまで、ブガッティのエクステリアデザイン責任者、アストンマーティンのエクステリアデザイン責任者、ベントレーのデザインディレクターを務めてきた人物だ。

「今、マクラーレンのデザイン部には、以前からマクラーレンで働いてきたデザイナーと、私が新たに採用したデザイナーがいます。私が彼らを評価しているのは、デザイナーだけれど、技術的な内容を理解している点です。エンジニアとディスカッションできる。そこが重要なポイントなのです」

つまり、デザイナーの仕事は”美しい形“を作るだけではない。シュールマン氏は「私は“形態は機能に従う”という言葉を信じていません」と言う。そして、「マクラーレンでのクルマづくりは、ひとつのパッケージなのです」と続けた。

【写真】過去の名車から現行までマクラーレンの車のデザインを見る(30枚以上)
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