マクラーレン「デザイン大変革期」を迎える意味 クンタッチ/F40のようなアイコンを作れるか

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1960年代は、F1と並行して「カナディアン―アメリカン・チャレンジカップ(Can-Am)」にも参戦。カンナムシリーズと呼ばれるこのレースでは、ボディ全体でダウンフォースを生む独自企画のカンナムマシン(日本だとトヨタ7や日産R380などがそれに当たる)を使う。

カンナムシリーズに参戦したマクラーレンM8A(写真:マクラーレン・オートモーティブ・アジア)
カンナムシリーズに参戦したマクラーレンM8A(写真:マクラーレン・オートモーティブ・アジア)

マクラーレンは、M6シリーズとM8シリーズでもって、1967年から1971年にかけて5年連続で選手権を獲得。当時、大いに話題になったものだ。

シュールマン氏は、「これらがマクラーレンのDNAです」と語る。

「私が10代のときに発表された『マクラーレンF1(フォーミュラ1設計者のゴードン・マレイが手がけたスーパースポーツ)』や、続けて1995年に登場した『F1 LM』は、衝撃的なモデルでした。私はマクラーレンのデザイン責任者に就任したとき、1960年代からマクラーレンが手がけてきたモデルを改めて研究し、象徴的な機能パーツをこれからのデザインに活かしていこうと考えました」

マクラーレンF1をサーキット走行に特化させたF1 LM(写真:マクラーレン・オートモーティブ・アジア)
マクラーレンF1をサーキット走行に特化させたF1 LM(写真:マクラーレン・オートモーティブ・アジア)

F40やクンタッチのようなアイコンを

マクラーレンは、これからモデルバリエーションに“より多様性をもたせていく”考えのようだ。

「私たちは今まで以上に、モデルごとのキャラクターを明確化する必要があります。このモデルはロードゴーイングカー、あのモデルはサーキットに特化している……とか。それでいて、遠目でもマクラーレンのプロダクトだとすぐにわかることが重要です。そのために、ボディデザインにおけるキーエレメントの役割が大切になるでしょう」

最高速度403km/h、「Hyper-GT」と位置づける究極のマクラーレン、スピードテイル(写真:マクラーレン・オートモーティブ・アジア)
最高速度403km/h、「Hyper-GT」と位置づける究極のマクラーレン、スピードテール(写真:マクラーレン・オートモーティブ・アジア)

マクラーレンは、それらを「パフォーマンス・バイ・デザイン」と定義。さらに、シュールマン氏は次のように続ける。

「200万ユーロ(約3.4億円)のプロダクトなら、やはりそう見えなくてはいけません。製品ごとにそれにふさわしい顧客をきちんと獲得すること。それがデザイン部門の大事な仕事だと、私たちは理解しています」

最後に、「好きなクルマはなにか?」とシュールマン氏に尋ねてみた。

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「マクラーレンなら、先にお話ししたゴードン・マレイのF1シリーズと、2013年のハイパースポーツ『P1』。オールジャンルだと、ランボルギーニ『クンタッチ(日本名カウンタック)』やフェラーリ『F40』がすぐ思い浮かびます。それらのクルマをひっくるめて一言で表現すると、“アイコン”です。私が作っていきたいのは、まさにアイコンになるクルマなのです」

実に楽しく、そして期待の持てる回答ではないだろうか。

【写真】歴代モデルから感じるマクラーレンのDNA
小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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