マクラーレン「デザイン大変革期」を迎える意味 クンタッチ/F40のようなアイコンを作れるか

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やさしくも熱いメッセージを込めて話すシュールマン氏(写真:マクラーレン・オートモーティブ・アジア)
やさしくも熱いメッセージを込めて話すシュールマン氏(写真:マクラーレン・オートモーティブ・アジア)

「形態は機能に従うというのは、エンジニアリングが先行してでき上がったものにアウタースキンを被せるということ。そうではなくて、最初のスケッチの段階から、デザイン、エンジニアリング、空力、3つの部門の専門家が一緒になって開発を進めるのです。それに私たちは、F1マシンを手がけるチームもありますから、たとえば薄いカーボンファイバーのような新素材の提案を受けたり、風洞実験の際のノウハウを教わったりします」

スポーツカーを作るには、かつてのようにシャシーやエンジンやサスペンションなどの「エンジニアリング」が優先して、最終的に「そこに魅力的に見えるボディをかぶせる」というやり方ではなくなっているのだ。

私の直近の記憶では、フェラーリの開発陣も、新型車「12チリンドリ」のメディア発表会で、リアウインドウ左右に設置されためずらしい分割式の電動スポイラーを例にとり、同様のことを言っていた。

個性的なリアスタイルを持つフェラーリ12チリンドリ(写真:Ferrari)
個性的なリアスタイルを持つフェラーリ12チリンドリ(写真:Ferrari)

「デザインを壊さず、最大限の機能を追求する。そのためにはエンジニアとデザイナーがチームになることが重要なのです」とは、エンジニアリングを統括するフェラーリのジャンマリア・フルゼンツィ氏の言葉だ。

コンコルドのように

これまでマクラーレン車といえば、波紋や鳥の羽など「自然が作りあげた形にこそ、もっともシンプルゆえに力がある」というようなポリシーのもと、デザインされていた。

ロブ・メルビル氏がデザインヘッドを務めていた時代、それはそれでたいへん強い個性を放っていたのは事実だ。それも変わるのだろうか。

さまざまな機能をボディにうまく溶け込ませたというGTS(写真:マクラーレン・オートモーティブ・アジア)
さまざまな機能をボディにうまく溶け込ませたというGTS(写真:マクラーレン・オートモーティブ・アジア)

「変わるでしょうね」とシュールマン氏。「私たちは、3つのDNAを追求しています。ブランドDNA、プロダクトDNA、デザインDNAです。マクラーレンの根っこにあるのがなにかというと、レースとパフォーマンスだと結論づけています」

「ほかのプロダクトを例にとると……」と、シュールマン氏は続ける。

「(音速旅客機として開発された)コンコルドが思いつきます。あのデザインは古びません。パフォーマンスを第一に設計されていて、モダンで、いつ見ても新鮮で、それゆえすぐれたデザインなのです」

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