中学受験知り尽くした2人が語る「最強親」への一歩 「折れない心」の親になるたった1つの方法

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おおた:だって、まるみちゃんの母親だって、まるみちゃんが不登校になったりという経験を経て、あの狂気を身につけたわけですよね。冷静になるという意味では客観的な視点をもつのも大事だと思いますが、親としての正しい狂気を身につけるには、やっぱりしんどさと真正面から向き合うしかないんじゃないかな。

親が親であるがゆえに味わえる苦しみなんだから。だから、小6の11月とか、親にとっていちばんしんどい時期を、小手先でうまくやろうと思わないでほしい。

高瀬:そうかもしれないですね。

おおた:どうしても苦しいときは、子どもの横顔を見るといいと思います。私の本の表紙がまさに、まったくやる気のなさそうな子どもの横顔なんですけど。

高瀬:この表情を見たら「何してんの!」って思っちゃうでしょうね。

中学受験は車酔いと似ている?

おおた:でもこの子だってきっと何も考えていないわけじゃない。

高瀬:そうなんです! 不合格を前にして、膝から崩れ落ちちゃう母親と、その横でヘラヘラしている子どもの話がおおたさんの本に出てきますよね。これがすごく象徴的で。笑ってる場合じゃないときに笑っているっていうのは、相当きついってことですよね。

おおた:心理学的には反動形成って言うんですけど、つらすぎる状況では、人間って無意識に笑っちゃうようにできてるんです。そうじゃないと、心が壊れるから。この表紙にはそういうストーリーを込めています。

高瀬:すごくいい。

おおたとしまさ/教育ジャーナリスト。著作は80冊以上。近著に『中学受験生を見守る最強メンタル!』(光文社)がある(画像:おおたとしまささん提供)

おおた:車酔いと似ていると思うんです。目の前ばかり見ていると気持ち悪くなるから、ときどきあえて視線を遠くに向けてみる。

中学受験で模試の結果ばかり見ていたら、ときどき、子どもの6年後とか、10年後とか、30年後とかを考えてみる。

そのときに、親の豊かな人生経験が役に立つはずです。いろいろ傷つくこともあったけど、なんとかやってるじゃないかって。だからこの子も大丈夫だって。傷つくことは悪いことじゃないって。

高瀬:悪い意味での狂気を引き出す「内なる魔物」の正体は親自身の人生の古傷であって、それを癒やすには、結局自分をゆるすことが大切だと、おおたさんの本に書かれていますよね。

それは「しょうがないじゃない!」って開き直ることじゃなくて、「自分にもどうしようもなく弱い部分がある、だから子どもにも弱い部分が当然あるし、パートナーにもあるだろうし」と認める。

おおた:自分の弱さに寄り添う強さがあればいい。

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