中学受験知り尽くした2人が語る「最強親」への一歩 「折れない心」の親になるたった1つの方法
おおた:もちろんギャップがいちばん大きいところを見出しにしているんですけど。最後の相談は「主体性を持ってほしくて、エクセルで管理してます」です。
高瀬:おおたさんならではの皮肉があちこちで利いてますよね。
おおた:この本を書いていて、「本末転倒力」という言葉を思いついて、本文でも使っています(笑)。
高瀬:でも誰かと対話でもしない限り自分ではなかなか気づけないんですよね。中学受験って後半になればなるほど対話の機会が減っていくのは構造上のバグだと思います。
ママ友の情報網も大事なんですけど、もう少しフラットな立場のひとの意見を聞ける機会があるとほんとはいいんですけどね。一方で、中学受験が終わると、冒頭の座談会のように、まるで憑き物がとれたようになるじゃないですか。
正しい狂気を宿すための第一歩
おおた:終わるとわかるんです。まずそれを知ってほしくて、中学受験終了組の座談会を第1章にもってきました。
高瀬:おおたさんの本にしても私の漫画にしても、「怖くて読めない」って言うひとがいますよね。でもそこは目を背けちゃいけない。覚悟を決めていただきたいなと思います。
おおた:それが正しい狂気を宿すための第一歩かもしれないですね。だって、いずれ自分たちの身に起こることですからね。他人事として少しでも予行演習しておいたほうがいざというときに困らないはずです。
高瀬:つい暴走しちゃうのは誰でもあることですけれど、子どもの人生は子どものものだからという軸をどこかにもっておけば、結果はだいぶ違ってくるかなとは思います。
おおた:きっと頭では子どもの人生をコントロールしようだなんて誰も考えていないんだけれども、うまく導いてあげることが自分の責任だと、愛情ゆえに思ってしまうんですよね。
高瀬:ネットとかだと、子どもの中学受験の結果をまるで自分の手柄のように発信するひとが目立つわけですよ。だから、うちの子の成績が伸びなかったら自分のせいかなと勝手に責任を感じてしまう。
おおた:自分を客観視するために、ほかのひとたちもみんなそれぞれに苦しみを抱えていることがわかる物語や事例を知ることが大事だという話をここまでしてきたわけですが、一方で、苦しいときはしっかり苦しむことも大切だと思うんですよね。苦しんでいることを悪いことだと思わないほうがいい。
高瀬:それはありますね。