7カ月で退会、48歳女性が見た「婚活男性のリアル」 「結婚するつもりがない」男女が急増する背景

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「婚活しているときは、どこか義務感にかられていました。年齢的にも、出産をするなら待ったなし。なんとか結婚相手を探したいと思っていたんです。そんななかで海外出張が入ると、“ああ、この期間は婚活をしなくていい”と思って、ほっとしている自分がいた。そして、導き出した答えは、“そこまでして、私には結婚が必要なのか”ということでした」

仕事をし、そこで出会っている人と話したほうが、お見合いで出会う男性よりも、数倍刺激的で楽しかったと言う。

「結婚を諦めたわけではありません。ただ、“子どもを授かりたい”という呪縛を取り除いたほうが、私は楽しく生きていける気がしたんです。出産を考えなければ、結婚はいつしてもいい。仕事をしながら生活していく中で、パートナーを見つけることができたら、そのときに結婚を考えればいいという気持ちになりました」

容姿の理想が高すぎて…

やすお(35歳、仮名)は、メーカーに勤める年収370万円の男性だ。婚活を始めるときに、「年収が高いほうではないので、共働きをしてくれる女性を探して、早めに結婚を決めたい」と言っていた。

ところが、現実は自分が理想としている女性とお見合いが組めなかった。申し込んできた女性のお見合いは写真を見ると、「自分の好みではない」と、なかなか受けようとしなかった。そして、1年が経った。その間に見合いしたのは、10回程度。それらの見合いは、8割がた先方から断られ、交際になっても、1度か2度食事をすると、相手から交際終了が来ていた。

そして、退会を申し出てきた。

「婚活をしてみて感じたのは、自分は女性の容姿の理想が高いということでした。いったん婚活から離れよう思います。その間に転職をして、まずは年収を上げることを考えないと、自分が好きになれる相手とは結婚はできない気がしました」

さらに、こう続けた。

「結婚できれば、誰でもいいというわけじゃない。ずっとその人を愛していくためには、性格も大事だけど、見た目も大事だとわかったんです」

その昔、親や親戚筋や近所の世話焼きおばさんが、見合い写真を持ってきて、写真を交換すれば結婚が決まった時代もあった。見た目や性格で相手を選ぶのではなく、家と家の釣り合いや2人の年頃が優先されて、結婚が決まった。

ところが、現代はSNSが発達し、マッチングアプリや相談所などに登録すれば、相手が無数に検索できる。写真の加工技術も発達し、サイトには芸能人ばりの美しい女性や素敵な男性が何万人と登録している。

こうした状況のなか、申し込みをするのは自由なので、“相手を選ぼう”という気持ちが強くなる。しかし、“選ぼう”と思っている相手からは、“選ばれない”。選ばれないのだけれど、候補者は無数にいるので、自分の立ち位置を冷静に判断できずに婚活を続け、挙句の果てに婚活疲れを起こして辞めていく人も多い。

辞めていくときには、何か理由を探すのだが、やすおの場合は「理想の女性と結婚するには、婚活する前に、年収を上げなくてはいけない」ということだったのだろう。

厚生労働省に属する機関の国立社会保障・人口問題研究所が、出生動向基本調査を5年ごとに実施している。下表は、結婚前の18歳から34歳の独身者を対象に結婚への意識調査の結果なのだが、一昔前にあった“皆婚意識”が崩壊に向かっているのがわかる。

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