「今後は、自分の好きなことをしつつ、そのなかで良い人に出会えれば結婚してもよし、出会えなければ1人気ままに生きていくでもよし。ただ短い期間でしたが、婚活をやったことは良かったと思っています。結婚というものに改めて正面から向き合ういい機会になったし、自分の人生にさほど結婚が必要ではないというのがわかりました」
みわは、大学を卒業してから公務員として働いている。男女差のない職場で、給料も安定している。1人で生きていける環境にあるし、地方出身なので、大学の頃からずっと1人暮らし。他人と1つ屋根の下に暮らす煩わしさよりも、1人の気ままさを選んだのだろう。
あまりにも潔い去り際だった。
ともえ(48歳、仮名)も、「自分には、結婚が向いていない」と判断した1人。
「婚活って時間がかかる。週末のお見合い。そこから交際に入ったら、定期的にデートの時間を作っていかないといけない。婚活と仕事の両立が難しいなと感じました。そして、どちらをしている自分が楽しいかといったら、仕事をしているほう。婚活を始める前は、多種多様な職業の男性に出会えることに興味もあり、楽しみにもしていたのですが、現実は仕事や生活に疲れた男性が多かった」
お見合いで会う男性は、「仕事がつまらない」「職場の人間関係が最悪だ」「勤めている会社は、ブラック企業」と、口を開けば愚痴ばかりこぼす人が目立ったという。
さらに、いい歳をした男性が一度も実家を出たことがなく、聞けば、食事から身の回りのことまで、年老いた母親に任せている。そのことにも驚いた。
彼女も1人暮らしだ。教員をしているのだが、「生徒たちと触れ合っているほうが刺激的だし、学べることが多いと感じました。これまで会ってきた男性たちを反面教師にして、生徒たちには、『ポジティブな発言が未来を切り開く』『社会に出たら、自立しなさい』と伝えていきたいです」とも言っていた。
そして、7カ月の婚活の末に退会していった。
みわとともえに共通しているのは、年齢的にも子どもを授かるのではなく、一緒に歩いていけるパートナーを探す婚活だったこと。給料が平均よりかなり高く、男性に依存しなくても暮らしていける経済力があったこと。そのためつまらない相手と結婚するなら、1人で生きていくほうが楽しいという結論を出したのだろう。
出産を考えなければ…
よしこ(38歳、仮名)はアメリカの大学を卒業し、その後数年の海外生活を経て、現在は都内にある外資系の会社に勤めていた。年収は1000万円を超えており、2年前には分譲マンションを買って、そこで1人暮らしをしていた。
「結婚して子どもを授かり、家族を築きたい」
そう言って10カ月前に始めた婚活だった。
ところが、仕事柄、海外出張があり、この10カ月間のうちに、1カ月弱の海外出張を2度ほどした。出張が決まると、「婚活は少しお休みすることになりますが、帰ってきたらまたご連絡しますね」と言っていたのだが、その声が生き生きしていた。
実質的に活動していたのは8カ月弱なのだが、退会を申し出てきた理由がこうだった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら