管理職の給与が激安な日本企業の特殊な甘え構造 目先の利益は確保できても競争力は衰退する

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一方、海外に目を向けると、新入社員でも年収2千万円を超えるグーグルのように、高給で世界中から優秀な人材をかき集めるグローバル企業があります。これでは勝負の行方は明らかでしょう。

日本企業がこの状況を打開するには、①ミドルの給与を国際的なレベルに引き上げるとともに、②「日本語の壁」を取り払い、英語でも職場のコミュニケーションを取れる状態にする(英語の社内公用語化)必要があります。

2つのうち、抵抗感が強いのは②でしょう。「英語の社内公用語化」についてミドルに尋ねたところ、懐疑的・否定的な反応が大半を占めました。
「私は留学経験があるので構いませんが、大半の従業員は困り果てるでしょう。わが社で英語を社内公用語にしたら、転職希望者が続出し、組織が崩壊します」(金融)

ミドルの低い給与は、目先の利益を確保するには有効ですが、長い目で見て決して経営にプラスになりません。その背景にある「日本語の壁」という問題を直視し、解決に向けて取り組むことが期待されます。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。

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