管理職の給与が激安な日本企業の特殊な甘え構造 目先の利益は確保できても競争力は衰退する

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「一般従業員から給与について不満が届くことはありますが、ミドルから声が上がることはありません。多くのミドルが“1千万円プレイヤー”というワードに憧れを持っており、『俺もここまでよくやった』と現状の給与水準に満足している節があります」(素材メーカー)

「日本でも外資系とか総合商社とか、高給の会社がいくらでもあります。当社でも本当に給与が不満という社員は、管理職になる前にさっさと転職しています。ブツブツ言いながらも会社に残って管理職をしている時点で、そんなに大きな不満はないのでしょう」(電機)

ミドルは「日本語の壁」に守られている

さて、ここからは筆者の考察です。結論的には、日本のミドルの給与が低いのは、「日本語の壁」によるところが大きいと思います。組織をトップ・ミドル・一般従業員という3階層に分けると、各階層によってコミュニケーションスキルの重要性が大きく異なります。

一般従業員、とくに単純労働者は、最低限のマニュアルを読むことができれば仕事をこなせるので、コミュニケーションスキルはさほど必要ありません。単純労働者は言語に関係なくどこでも働くことができるので、グローバルな労働移動がよく起こります。

トップは、方針・指示などを従業員や関係者に広く伝える必要があり、高度なコミュニケーションスキルが必要です。ただ、トップだと通訳を雇うことができるので、言語の問題はかなり解消されます。単純労働者ほど自由ではないものの、グローバルな労働移動が起こります。

グローバルな労働移動が起こると、給与は国際的な相場に収斂していきます。これが、近年、日本でも一般従業員やトップの報酬が上がっている大きな理由の一つです(もちろん、それだけが理由ではありません)。

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