管理職の給与が激安な日本企業の特殊な甘え構造 目先の利益は確保できても競争力は衰退する

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「大事なことはトップが意思決定し、実際に手を動かすのは部下たちです。ちょっと自虐的かもしれませんが、ミドルってそんなにたいした仕事をしているわけではありません。これで年収1000万円超というのは、高すぎますね」(輸送機・技術開発部門)

「当社では純粋なラインマネジャーは少なく、大半のミドルがプレイングマネジャーです。近年、ミドルの数が削減され、業務負荷が増え、仕事を回すのにてんてこ舞いです。ミドルの献身なしに会社が成り立たない状況で、働きぶりと比べて報酬は安いと思います」(物流・業務部門)

断然多かったのは、「妥当」という意見でした。ミドルの役割や給与について色々な問題意識を持ちながらも、おおむね納得しているようでした。

「当社の管理職はジェネラリストで、やっていることは社内調整や部下の不始末の尻拭いが中心です。決して人に誇れる仕事ではありませんが、会社が必要としている役割であり、その期待に見合った妥当な給与をもらっていると思います」(小売り・総務部門)

「月収で長時間残業をした部下が私を上回ることが度々あり、矛盾を感じます。外資系に行った大学時代の友人と比較しても、安いと思います。ただ、クビになることもなく、人並み以上の生活をできる給与をもらっており、文句は言えません」(サービス・営業部門)

給与が不満だったらさっさと転職している

なぜ、日本ではミドルの給与は激安なのでしょうか。今回、大手企業の人事部門の責任者・担当者にもヒアリングをしました。

人事部門関係者からも「当社のミドルの給与水準は概ね妥当です」(精密機器メーカー)という意見が多く聞かれました。そして、ミドルが自身の給与水準に満足している様子が示唆されました。

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