原油価格は1バレル=100ドル超になる懸念がある 「中国経済が不調でも上昇」は現実のものに
では、原油市場はどこまで上昇するのだろうか。今後、冬場の暖房需要期にかけて需給が一段と逼迫することは不可避だ。それだけに、上昇余地はまだ大きく残っていると見ておいたほうがよい。昨年は欧米をはじめ、北半球の多くの地域が記録的な暖冬となったこともあって価格は低迷した。だが、今のところアメリカでは厳しい冬になるとの長期予報が出ている。もし、気温の低下に伴って需要が大幅に増加すれば需給は一段と逼迫、在庫の取り崩しも急速なペースで進むことになる。それにつれて投機的な買い意欲も強まり、相場を大きく押し上げるのではないか。
まさかの1バレル=105~110ドルもありうる?
もっとも、ここまでの大幅な減産で、産油国にはかなりの生産余力が生じていることも忘れるべきではない。OPECには現時点では恐らく日量400万バレルから500万バレルの生産余力があり、ロシアなどを加えればさらに余力は増えていると思われる。
つまり、サウジがある時点で価格上昇に満足し「自主的な減産を停止する」と発表すれば、状況はガラリと変わる。あとはその満足する価格水準がどこにあるのかだけの問題だ。
筆者は1バレル=100ドルの大台に乗せるまでは、そうした動きが見られることはないと思っているが、さすがに大台を突破してくれば警戒感を高める必要がありそうだ。
もちろん、そうした方針転換で、相場がいったん大きく値を下げることになるのは百も承知だ。ということは、仮に真の目標が100ドルだったとしても、それ以上に相場が上昇するのを待ってから、「もうええか、許したる」ということで、発表を行うことも十分に考えられる。とすると、1バレル=105ドル~110ドルあたりが、今後の1つの目安となりそうだ。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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